【沿線革命047】
鉄道の首都直下地震への備えをさらに考える

阿部 等

新潟県中越地震での新幹線脱線の原因の再説明

【046】にて、航空・鉄道事故調査委員会(現運輸安全委員会)の脱線メカニズムの記載が、正直、解せないと書いたことに対して、ある方から以下のアドバイスを受けた。
・「ロッキング脱線」とは、片足を上げて四股(しこ)を踏むような形シミュレーションで演算された
・実物の台車+軌道を用いた半車体モデルによる加振試験でも再現された
・半車体モデルは鉄道総研とJR東海が別々に異なる加振試験台で実施した
・1/10モデルによる走行試験でも再現された
・地震の周波数が約1Hzと比較的低く、下心ローリングを起こしたらしい
・東日本大震災は周波数が2Hzで、上心ローリングを起こし滑り上がったらしい

ここまで明確なら間違いないだろう。私の不勉強をお詫びし、「解せない」との発言を撤回する。ただ、報告書には「~の可能性が考えられる」と記述され、いかにも十分な検証がされていない書き方であり、誤解を招くものだ。

また、脱線軸の中には、先行の車輪がレール締結装置を破壊したために走行するレールがなくなって脱輪したものも相当数あるとのご指摘も受けた。脱輪した19軸の内の何軸がロッキング脱線で、何軸がレールがなくなったことによる脱輪かは不明である。

脱線した上越新幹線の停止時の各車輪の様子(『航空・鉄道事故調査委員会報告書』2007.11.30より)  

東海道新幹線の脱線・逸脱防止対策

さらに、東海道新幹線の地震対策の進捗も教わった。

JR東海は、地上設備に対し脱線防止ガード敷設と土木構造物対策、車両に対し逸脱防止ストッパ設置を進めている(http://jr-central.co.jp/news/release/nws001132.html)。

前者は、東海道新幹線の全軌道延長1,030kmに対し、2009(平成21)年10月~2013(平成25)年3月に優先順位の高い140kmが完了し、引き続き2012(平成24)年12月~2020年3月の予定で次に優先順位の高い456kmへの敷設を進めている。

後者は、2012(平成24)年度中に全編成への設置が完了した。

以上に要する経費は約1,210億円であり、ひょっとすると、「下部」の建築限界ギリギリまでフランジ高さを高くすることと、「展伸機を用いた耐震脱線防止システム」設置の方が安上りで効果的だったかも知れない。特に、山陽新幹線まで含めるとそうなるだろう。

また、東海道新幹線にはレールブレーキ導入による減速度向上の考えはない。