【沿線革命047】
鉄道の首都直下地震への備えをさらに考える

阿部 等

車輪フランジを高くする、より安上りな方策

【046】では、フランジの高い車輪を新造し、既存の車両の車輪を順に交換することを提案し、東京圏の車両は約1万両、1両当たり300万円だとして300億円の経費とした。

その後、メーカーのエンジニアOBの稲宮健一氏が、より安上りな方策を発案されていることを知った。

車輪の裏側に円盤を貼付けてフランジを高くする(稲宮健一氏提供)

車輪の裏側に円盤を貼り付けてフランジを高くすることにより、現行の車輪をそのまま使え、交換することと比べ圧倒的に安上りとなる。今後新造する車輪はフランジの高いものとする。

走行中に剥がれたら大事故となりかねないので、溶接・接着剤による貼り付け・車輪に穴を開けてボルト締め等、最も効果的な方策で貼り付ける。できれば、剥がれかけた場合に検知できるようにしたい。

この方式により1両当たり100万円とできれば、経費は100億円に下がる。

新たな脱線防止システムの提案

稲宮氏は、脱線防止にさらに効果的な方策を発案し、「展伸機を用いた耐震脱線防止システム」(特開2007-176348)として特許を受け登録している。

台車に設置し、地震の発生と同時に車輪フランジと同じ空間に、フランジ高さより深く展伸させ、脱線を防止するものである。

台車に設置する耐震脱線防止システム(稲宮健一氏提供)

稲宮氏は「フランジが通過する付近の自由空間内に展伸するので、列車の走行に支障とならない」とするが、それでは「下部」の建築限界内の深さ37mmまでしか展伸できず、最初からフランジ高さを高くした方が得策である。

37mmより深くまで展伸してこそ、より高い脱線防止効果となる。単純に深くまで展伸させたのでは、レール継目板・踏切敷板・分岐器等に激突し、むしろ自ら脱線の原因を作ってしまう。

そこで、レール頭面より下部の線路設備に関するデータベースを整備し、それらに激突しないように伸び縮み、あるいは激突しないレールから離れた場所のみへ展伸するように制御することを提案する。

それにより、より高い脱線防止効果を期待できる。

台車を過剰に重量化せず、脱線防止に効果的なほど強度を持ち、地上設備データベースに基づきキビキビと制御する、といった所要の機能を整理し、早期に実用化したい。導入後の実務的には、地上設備の改修に応じたデータベースの適時適切な更新が課題となる。