【沿線革命047】
鉄道の首都直下地震への備えをさらに考える

阿部 等

巨大地震へは対応できないと諦めない

週刊現代は、ここ数年、地震や噴火に関する記事を繰り返し掲載している。部数目当てにセンセーショナルに書き、社会不安を必要以上に煽っているとの批判もあるだろう。内容的にも、調査が不十分で事実を誤認している点もある。

その上で、私はこういった記事を評価したい。

我々日本人は、東日本大震災により、起きて欲しくないことに目をつぶり、起きたら「想定外」と称することも、諦めて何も備えないことも許されないと学んだはずだ。

ところが、残念ながら、私自身も含め、日々の目前のことに追われてしまう。多くの人はどうしようもないと諦め、少しでもできることをしようと考えない。

それに対して、この手の記事やテレビ報道が繰り返し、多少大袈裟でも、場合によっては若干の事実誤認を含んでも、多くの人の不安を煽ることが、社会全体に健全な危機意識を広める重要な役割を果たすと私は考える。

ただし、記事の最後が「ひとりひとりが日頃から自分なりの対策を考える以外、道はない。」で締めくくられている点は、おおいに不満だ。

首都直下地震による鉄道の被害を最小化することは、個人の心掛けや備えでどうにかなる話ではない。鉄道事業者が、然るべきことをしなければいけない。

その費用が莫大なら、鉄道事業者だけが負担するのでなく社会全体で負担しなければいけない。事の重大性と緊急性を考えるなら、増税して財源を確保してでも早急に実行すべきだ。マスコミは、正義のペンとしてそのための世論形成を進めて欲しい。

車輪フランジを高くすることと減速度を高めることの効果は間違いない

【046】に、在来線の車輪フランジを現行の27mmより6mm高くして33mm、できれば少しでも高くして脱線確率を下げることを提案した。「下部」の建築限界のフランジが収まる箇所は、レール頭面から37mmの深さとなっている。

新幹線でもわずか30㎜、在来線では27㎜の車輪フランジ高さを高くすることが、大地震時の脱線確率を下げる(『航空・鉄道事故調査委員会報告書』2007.11.30より)

その後、車両運動に関して造詣の深い鉄道の専門家の方数名と意見交換を重ね、フランジを高くすることによる脱線確率の低下を数量化はできないが、効果があることは間違いないと異口同音に言われた。

また、減速度を高めることによる大地震時の被害軽減も、それを数量化はできずとも、効果があることは確実だ。

鉄道の非常ブレーキを乗用車並みとすれば、大地震時の被害を大幅に軽減できる(『満員電車がなくなる日』86ページ)

例えば、90km/hで走行中に非常ブレーキを掛けて停止するまで、減速度が3km/h/s(1秒当たり3km/hずつ減速)だと30秒を要するのに対し、15km/h/sなら6秒に短縮できる。

線路が大変形している箇所がある場合の脱線・転覆、進路を妨害する対向列車との衝突、落下している高架橋へ突っ込む、ホームから転落している人々を轢いてしまう確率が、大幅に低下することは説明するまでもなかろう。