[アイランドリーグ]
高知・弘田澄男監督「藤川球児効果はあるか」

スポーツコミュニケーションズ

データを踏まえて頭を使え

 それを痛感したのが前期最終戦後のミーティングです。僕は選手たちにある質問をしました。
「このピッチャーに、何打数何安打か覚えているか」
「前期の打率はいくらだったか」
 残念なことに、まともに答えられた選手はほとんどいませんでした。

 自分の打率や成績に敏感でない選手が、バッティングにこだわりを持てるはずがありません。「このピッチャーからは打てていない」「何打数何安打で、打率3割に乗る」。その認識があるからこそ、どうやって打つかを探究する気持ちが生まれるのです。

 監督に就任して以降、僕はベンチに毎試合、配球チャートを用意しています。このチャートではストライクゾーンを9分割して状況別の球種やコース、結果を記し、ピッチャーの牽制のクセなども書き加えています。

 これを活用して各自で研究すれば、バッティング向上のヒントが見つかります。もし、ストライクゾーンの甘いコースで凡打が多ければ、それは打ち損じの多さを意味します。打ち損じが多いのは狙い球を絞れていないからか、それとも技術的に原因があるのか……。データを踏まえて頭を使わなくてはヒットの確率は高まるはずがありません。

 またチャートに載っている牽制のクセを理解しておけば、もっと相手のスキを突いた盗塁も増えるでしょう。ところが、前期のチーム盗塁数は19個。香川(38個)や徳島(35個)に遠く及びません。こちらが“ディスボール(この球で走れ)”のサインを出さないと走らないし、走れない。これでは俊足が売りと言っても何の意味もないでしょう。

 前期、高知のチーム打率は.233、得点は87点でした。1試合に3点も取れていません。この現状に甘んじていては、NPBなど夢のまた夢です。よく、選手たちは「夢を追いかけて四国に来た」などと発言しますが、夢を語るだけなら誰でもできます。そして、一生懸命練習することも難しい話ではありません。

 本当に大変なのは実際に結果を残すこと。さらに大変なのは、その上でスカウトの評価を受けて、ドラフト指名される選手になることです。夢を現実にするのは簡単ではない。このことをどれだけの選手が真剣にとらえているでしょうか。