銀行の入出金システムや航空券の予約システム、機械設計のCADなど、サービス、産業の各分野で情報システムの構築を行う日本ユニシス。バドミントンチームの強さでも知られる企業だ。コンピューターの黎明期だった1958年に設立され、現在も日経BP社の調査で4部門の顧客満足度1位(全国1万1155社/組織の情報システム部門対象)に輝くなど、圧倒的な強さを誇る。社長は、現場生え抜きの黒川茂氏(63歳)だ。
* * *
趣味
弊社のシステムは堅牢で信頼性が高いとご評価をいただいています。しかし預金や予約のシステムだけでなく、交通インフラや、災害の監視まで、情報技術の社会的役割はますます広がっており、構築したシステムの責任はさらに大きくなっていくと考えています。
弊社の商品は読者の皆さまにあまり知られていないと思いますが、ATMで24時間おカネがおろせ、様々な店で便利にポイントカードなどのサービスを利用できるのは、弊社をはじめとする企業が信頼できるシステムを作り、陰ながらお役に立っているからです。なかでも競走馬のデータは、私もよく利用しますしね(笑)。
「際」がない
現代の特徴は、業界、業種の区別がつきにくいことでしょう。たとえば流通企業が独自の銀行業務を始めるなど、顧客も多様なシステムを必要としています。また、インターネットの検索エンジンの企業がクラウドサービス(重要データの保管などのサービス)も行うなど、競合の企業も多岐にわたります。この活力が、非常に面白い時代を創り上げていると感じます。
時代感覚
私が弊社を志したのは大学時代のことです。弊社の前身である日本ユニバック社に就職したOBが、大学の夏期集中講座に来て、電子計算機の講義をしてくれました。この時に「コンピューターの時代が来る」と直感したんです。
有り難い
若手時代、システム開発のため、ある銀行に常駐していました。今も、このシステムは改良を加えられつつ使われているんですよ。記憶に残っているのは、時には泊まりこみで仕事をした私を、顧客である銀行の方たちが「仲間」として接してくれたことです。彼らから「ありがとう」という言葉をかけられ、以来、なんと深い言葉かと思っています。仕事だからやって当然なのですが、しかし「有り難いこと」と言ってくださるのです。この言葉を聞き、私は何かを達成する喜びを実感しました。しかも実は、私の家内も、この銀行の・・・・・・(笑)。
苦しむもまた
若い頃は数多くの失敗をしました。話せばきりがありません。でも失敗は、逃げなきゃ必ず人生の糧になる。だから、厳しいことも、前向きに捉えなきゃ! もちろん仕事は楽しいことばかりじゃありません。だからこそ、逃げたり、隠したり、先送りにするようなことはしちゃいけない。学んだことは、今も入社式で新入社員に話します。上司になっても、問題が発覚した時は「この段階でこのトラブルが見つかってよかった」などと、皆が前向きに捉えられるよう心がけていました。