原発再稼働なんて、ありえない「巨大地震は来る」 
あの揺れで(関東震度5)予感は確信に変わった!

週刊現代 プロフィール

5月25日の地震をきっかけとして、3・11以降放ったらかしにしていた家庭の災害対策を見直す人も増えつつある。都内に複数の店舗を構えるホームセンターの売り場担当者によれば、「保存食の賞味期限が3~4年で切れるということに、今回の地震で気づいた人が多いのか、防災用品の買い替え需要が確かに伸びている」という。

少なからぬ国民が、「巨大地震はやっぱり来るのだ」という確信のもと、来たるべき破局に備えて行動し始めた。にもかかわらず、その一方ではまったく危機感を抱いていないどころか、ありえない選択に突き進む人々がいる。この期に及んで原発再稼働を推し進める、政府と電力業界関係者—あの「原子力ムラ」が今、ゾンビのように息を吹き返しているのだ。

関東を強烈な揺れが襲ったわずか2日後、原子力規制委員会は鹿児島県の川内原発について、再稼働のために必要な「保安規定」、つまり事故対策のマニュアルを認可した。要するに、いつでも再稼働できる「お墨付き」を与えたということだ。

覚悟を持つしかない

元原子炉技術者の後藤政志氏は、強く批判する。

「今でも、世論調査では依然として原発再稼働に否定的な意見が多数派です。にもかかわらず、それが脱原発の動きにつながるどころか、結果的に再稼働を容認する空気を作ってさえいる。

今もって、福島第一原発の事故は原因すらはっきりせず、収束にはほど遠い。溶けた核燃料がどうなっているのか、地下水と触れ合って海に流入していないかどうかも分からない。探査ロボットは回収不能になり、凍土壁は機能していない。加えて、次の巨大地震が襲ってくるかもしれないわけでしょう。こんな状況下で原発をもう一度動かそうなんて、もはや常軌を逸しています」

文字通り国中を揺るがす大地震が起きても、すぐに忘れてしまう日本人の気質を見抜き、こう警鐘を鳴らした人物がいる。

〈大地震の直後こそ、日本中の人が口々に『怖かったね』とか『大変なことが起きた』と言って、つまらない損得や欲望なんて忘れたかのような雰囲気だった。しかし、少し時間が経ったら、地震のことを話題にする人さえいなくなった〉

書いたのは鎌倉時代の随筆家、鴨長明である。

彼は1185年8月に遭遇した大地震「文治地震」のことを、『方丈記』で取り上げた。最新の研究では、京都を壊滅させたというこの地震が「南海トラフ巨大地震」だった可能性が指摘されている。前出の広瀬氏が言うように、今も昔も日本人は「正常性バイアス」の罠にはまり、大地震のリスクを正しく見積もることができていないのだ。

目先の利益にくらむ原子力ムラや政府の面々が生贄に差し出しているのは、他ならぬ日本の国民であり、若者であり、子供たちである。明治大学教授の齋藤孝氏が言う。

「私が普段教えている学生たちにも、『首都直下地震がもうすぐ来ると言われても、どうしていいか分からない』とうろたえている子が多い。私自身は、もうどこで死んでも構いませんが、次世代を担う若者たちを犠牲にするわけにはいきません。あの東日本大震災で多くの人が抱いた『いつかは必ず巨大地震が来るのだ』という覚悟を、今一度思い出すべき時が来たのではないでしょうか」

この国に住んでいる限り、巨大地震からは逃れられない。次に緊急地震速報が流れた時、後悔しないように日々備えよ—「あの揺れ」が、私たちにそう警告している。

「週刊現代」2015年6月13日号より


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