5月21日、バルト3国の一つであるラトビアの首都リガで、「東方パートナーシップ」のサミットが開かれた。「東方パートナーシップ」というのは、EUとその東にある国々との関係深化を目的としたパートナーシップだ。
メンバーは、ウクライナ、モルドバ、グルジア、ベラルーシ、アゼルバイジャン、アルメニアの6ヵ国で、すべて、かつてはソ連邦に属していた。うち、ウクライナ、モルドバ、ベラルーシは、今、ロシアとEUの間にスッポリ挟まっている。
これら6国の特徴は、過去、ソ連かドイツ、あるいはその両方に攻め込まれた苦い経験を持つ国が多いことだ。そして、その後は、ソ連に保護されたとも、弾圧されたともいえる複雑な年月を過ごしてきた。苦労しているだけあって、どの国もなかなかしたたかだ。
「東方パートナーシップ」は、ポーランドの強い働きかけと、スウェーデンの支援により、2008年に正式に始まった。そして翌年、EUの議長国であったチェコのプラハで初めての会合が開かれた。ポーランドやチェコの人々にしてみれば、なるべく多くの隣国が西側に組み込まれなければ、おちおち安心して寝られないという感じらしい。一方、EU側の狙いは、EUの外壁を固めることである。
実際問題として何が当面の目標かというと、これらの国々が民主化に向かうための政治改革のお手伝いと、関税廃止、つまり自由貿易の確立だ。そのはるか前方には、「努力すれば、いずれ、あなた方の国もポーランドのようにEUに加盟できますよ」というぼんやりしたご褒美がぶら下げられたので、EU加盟を望む国々は大いに努力した。