【沿線革命046】鉄道が平日朝8時に首都直下地震に襲われても被害を最小に

阿部 等

浮き上がるほどではなく、片側の車輪に掛かる荷重(「輪重」と称する)が非常に小さくなり、同時に横方向の力(「横圧」と称する)が大きく掛かり、レールを乗り越えて脱輪したのではないだろうか。

もし浮き上がったのなら、左右同時に浮き上がり(と言うより、飛び跳ね)、落下した時には地震動によりレールの位置が移動しており、レール上に乗ったのではないだろうか。

脱線現象の研究は実は遅れている

正直に告白しよう。私は、JR東日本の在職中、3年強の間、脱線に関わる研究・開発に従事したのだが、脱線現象の解明にまではとても至れなかった。学生時代の物理と数学の不勉強を深く後悔した。

鉄道の未来を拓くためにあえて申し上げる。列車の脱線事故は大惨事に結び付き、鉄道の開業以来、常に悩まされ続け、その現象解明と効果的かつ経済的な対策樹立が望まれているが、残念ながら、世界中の鉄道がその域に達していない。

ところで、日本が世界一の長寿国となれたのは、戦後一貫して医学界に最優秀な人材が多数参入した成果だろう。東大の理科3類を頂点に、どの大学も医学部の入学難易度が図抜けて高い。

偏差値秀才が必ずしも社会的に有益な仕事をするとは限らないとの意見もあるが、医学の研究や臨床の高度化に、18歳までに高度の知的鍛錬を受けた人材が大きく貢献したことは間違いなかろう。

鉄道の脱線現象の解明は、力学を中心とした物理学と数学の理解・洞察力に基づき運動方程式を的確に立てて解く作業であり、東大理科3類に上位で入学するような人材が最も得意とするものだ。

この記事を読んで関心を持った物理と数学に絶対的な自信のある学生の皆さん、ぜひとも脱線現象の解明の分野に進んで欲しい。あるいは、そういったご子息を持つ親御さん、ぜひともご子息に勧めて欲しい。

活躍できるフィールドが広大に広がっており、鉄道の発展と人類の未来に大きく貢献できる。

日本は十分に長寿国となれた。最優秀な人材が参入すべき分野は医学界以外にも多数ある。鉄道の脱線現象の解明もそうだが、地震や噴火の研究こそが日本の将来に極めて重要だと強く申し上げたい。