スティーブ・モリヤマ 第2回
「自分にとってなにがベストなのか・・・"ストリート・スマート"な人間は常にそれを考えて行動します」

島地 勝彦 プロフィール

シマジ なるほど、日本の若者だけが特殊なわけではないんだ。それもグローバル化の一端なのかもしれないね。

モリヤマ ええ。そしてここが大切なのですが、そういう異質な人たちと「違いを理解しながら、つきあっていく秘訣」は、「比べながら、比べない」に集約されると思うのです。

シマジ 比べながら、比べない?

モリヤマ はい、多くの人は自分たちと「比べる」ことはします。ところが、比べるときに自然体を崩す人が多いのです。さっき出てきた「出羽守」もそうですし、「いまどきの若者は」とお嘆きのオジサンたちもそうです。

シマジ 具体的にはどういうこと?

モリヤマ こんな風に考えるとイメージできるかもしれません。わたしは、築地で寿司を食べているときは、フランス料理のことは考えません。ブリュッセルでフランス料理を食べているときは、寿司のことは考えません。

どちらも好きです。そして、両方の違いについても詳しく理解しているつもりです。しかし、実際にどちらかを食べている時は、もう片方と比べて、優劣をつけたりはしません。ありのままを受け入れるのです。世代間交流にせよ、異文化交流にせよ、基本は同じことだと思っています。

その点、シマジ先生は、どの世代の人たちとも、そしておそらくはどの国の人たちとも、つきあえる数少ない熟年男性ですよね。

シマジ そう言われてみると、そうかもしれません。ところで、いま日本の大学生は一斉に就活中だけど、ヨーロッパはどうなの?

モリヤマ アメリカもそうですが、全業種で募集時期が重なるという慣習は、基本的にないですね。考えさせられたのは、いまの日本の大学生は、面接練習を含め、就活のための塾に行くんだそうです。

立木 へえ、それは知らなかった。シマジは知っていたのか?

シマジ 知りませんでした。ヨーロッパに住んでいるスティーブが知っていて、われわれが知らないこともあるんですね。

モリヤマ わたしも、ある大学生にたまたま教わっただけです。大学の卒業論文にわたしの本の内容を使いたいのでインタビューさせてください、とお手紙をもらい、いまどき律儀な子だな、と思って実際にお会いしたときに就活塾のことを聞きました。

その学生さんは、もともと就活塾など行く気はなかったそうですが、周りの友だちがみんな行きだしてどうしようかと迷っていたところ、「個性がなくなるからやめろ」というお父様からの的確なアドバイスもあり、結局、行かなかったそうです。ただ、結構な授業料を取るのに、相当人気があるようです。