ブランソン流「最高のアイデア」の引き出し方

〔PHOTO〕i-stock

「模倣」と「盗用」は違う

「優れた芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む」という格言は一般にピカソが言い出したとされています。そして多くの人々はこれを、他の芸術家が一生懸命生み出したアイデアをピカソが図々しく模倣した、という意味だと長いあいだ曲解してきました。

しかしこれほど真実から遠いことはありません。「模倣」と「盗用」はまるで違います。模倣する人は、単に複製するだけですが、盗む人は、現在的な解釈を施してそれを持ち去る。つまり結局は、盗んだ当人が作るのです。

誰でも本当に新しいアイデアを思いつくことなどめったにないとこの格言は気付かせてくれます。私たちはみな環境の所産です。先行する人々から借用し、同じ道をたどるなかで先人たちの教訓から恩恵を受けているのです。単純化すれば誰もがほかの人々から影響を受けているわけです。

アップルの共同創立者スティーブ・ジョブズは、ピカソの言葉の意味を知っていました。かつてあるインタビューでこう明言しています。「素晴らしいアイデアを流用することに対して、アップルの誰もが恥じることはなかった」。

ヴァージンのわれわれのチームは、独特のアイデアでヴァージンというブランドを築きました。いま現在の製品やサービスが不十分な産業に目を付け、際立つ提案でそのギャップを埋め、そこに誰でも分かるヴァージンマークを貼り付ける、というわけです。

例えばヴァージンレコードをはじめた時、レコードの販売という業態はなんら新しいものではありませんでした。しかしわれわれは、そのプロセスを合理化し、より簡単に音楽にアクセスできるようにしました。航空産業分野に参入した時も、飛行機旅行はまったく新しいものではなかったのですが、特にカスタマーサービスという点では、その潜在力を十分には発揮していませんでした。そこでその解決に専念することで航空産業を破壊的に革新したのです。

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