【沿線革命045】 平日朝8時に首都直下地震に襲われたら鉄道はどうなる?

人員も機材も事故現場へ辿り着けない、生き埋め者を救えない

2011(平成23)年3月の東日本大震災の際、多くの人が帰宅難民となり、また道路渋滞で何時間も車に閉じ込められた。首都圏では震度も被害規模も大震災ではなかったのに、道路があんなに大渋滞して身動きが取れなくなったのだ。

本当の大震災に襲われたら、深刻な渋滞ばかりでなく、道路陥没や交通事故、また沿道の電柱や建物の倒壊が多数発生し、大規模火災による通行不能も各所に生じる。

道路は使いものにならず、消防車も救急車もパトカーも、クレーン車も作業員移動車も、移動がままならない。救援のための人員も機材も事故現場へ辿り着けず、鉄道の脱線・転覆で生き埋めとなった多数の人を、救いたくとも救えなくなる。

被害規模と比べて救急車はあまりに無力で病院搬送もままならない。医師も看護師も薬剤師も鉄道事故に巻き込まれる人が続出し、また交通が止まって病院へ出勤できず、病院の処置能力も低下する。

即死を逃れた多くの生埋め者の大半を、悲しいことにほとんど救えないのだ。真夏で最高気温が38度などとなったら、数万の遺体が数日で腐敗し伝染病が蔓延しかねない。真冬で最低気温が氷点下となったら、生埋め者は体温低下し短日時で絶命する。

地下鉄はさらに恐ろしい

地下は地上と比べて地震時の揺れが小さく、地下鉄は地震に強いと言われる。

実際、東日本大震災では、JR東日本の地上と高架の鉄道は、駅・電柱・橋脚などが多数の損壊を受けたが、仙台市地下鉄では大きな被害はほとんどなかった。

しかし、地下鉄は地震に強いとは言え、限界点を越えれば大損壊を受け、大人数が地下に生き埋めとなり、停電で明かりもなく自力脱出も絶望的だ。

阪神・淡路大震災では、地下鉄である神戸高速鉄道の大開駅が壊滅的な被害を受け(毎日新聞http://mainichi.jp/graph/select/archive/hanshin/image/014.jpg)、もし列車が進入していれば大惨事となっていた。

現代文明が掌握している今までの地震を上回る地震は起きないなどという都合の良いことはあり得ず、地下鉄に大開駅を上回る大損壊を与える大震災はいつか必ず来るだろう。それが明日なのか1万年後なのかは誰にも分からない。

さらに、震源が東京湾の内陸近くだと、短時間で津波が地下鉄の坑口に押し寄せ、途中区間の多くの列車と人を巻き込みながら地下鉄ネットワークを水没させかねない。死者・生埋め者はさらに増える。

地下鉄の開口部には可動式の遮水壁が設置されているが、そこで列車が脱線していたら閉められない。

関東大震災後から戦中・戦後・高度経済成長期・バブルの時代と、地球の長い歴史の中では偶然と言うべきか、日本列島は地震の静寂期だった。

その間に地震大国日本に地下鉄ネットワークを作り、近い将来に後悔することにならないことを願うばかりだ。