プロ野球インサイドレポート 世の中にはカネで買えないものもある「人を育てた」中畑DeNA、それに比べて阪神タイガース

週刊現代 プロフィール

筒香のほか、14日間のキャンプを乗り切った梶谷(隆幸)、石川(雄洋)、投手では山口(俊)らが今の中心選手。みんな『相当キツイ』と歯を食いしばりながら、離脱者が一人も出なかった。同世代の競争なのでこの戦いに敗れてしまうと、試合に出られない。チーム内競争が自然に生まれている今の礎になっています」

お前の役割は何だ

石川は、中畑監督の就任1年目から昨季までチームの主将を担ったが、この地獄のキャンプの翌年、さらに洗礼を浴びた。開幕直後から極度の不振に陥り、レギュラーを剥奪。個人の結果だけでなく、キャプテンとしての姿勢にも物足りなさを感じた中畑監督は「お前がチームに与える影響力は大きい。チームが勝つために、よかった時の姿を取り戻せ」と二軍降格を命じた。はいあがってくるまで2週間かかった。戦力ダウンは承知の上で、あえて谷底に突き落とした。

目を覚ました石川はこの年のクライマックスシリーズ(CS)への出場が絶望的となった日、試合後も、横浜スタジアムの室内練習場へ向かった。

ひたすらバットを振り続けた石川は、周りにいる選手の意識の変化も感じはじめた。

「今は投手と野手の歯車が噛み合っていますね。16日の広島戦でも、打線が点を取れないとき、井納(翔一)が1点差を守って完投してくれた。選手個々が自分の役割をよく把握している。僕なら塁に出ることですし、それぞれが自分の持ち場を必死に守っています。

中畑監督は去年までは選手を集めてよく話をしてきましたが、今年はそれがあまりないんです。

選手が準備段階でやるべきことをやり、結果も伴っているので、中畑監督が言わなくて済む状況が作れている。4月に7連敗したときも、選手の雰囲気は全然、悪くなかった。中畑監督から連敗中に集合がかかったのは1度だけ。『もう一度、引き締めていこう』と。そこから、すぐ5連勝できたので、あの連敗で、チームがもう一回引き締まったという意味で、いい負けだったのではないかと思います」

一方、先発が不足していた投手陣の再建も同時並行ですすめられた。中畑監督を現役時代から知るベテラン野球記者が明かす。

「中畑監督就任に導いた高田繁GMは、巨人の先輩にあたり、中畑監督が若い頃、球場入りのために迎えにいった仲。吉田孝司編成部長も巨人で編成トップを経験しており、『巨人OBライン』が形成された。彼らがドラフト、そして他球団から地味ながら、活躍する好選手を獲得しています」

助っ人にナメられる監督

中畑政権1年目のドラフトで井納とともに指名された3年目の三嶋一輝がすでに4勝。チームの勝ち頭になっている。