オックスフォード大学日本事務所代表 アリソン・ビール「大学の国際化には、留学生を増やすだけでなく、根本的な制度改革が必要」

オックスブリッジの卒業生は、いま
オックスブリッジ卒業生100人委員会

日本の良さを分析したカリキュラムの提供を

- 日本の大学が海外の学生にも魅力的になるには、どのようなことが必要ですか?

欧米の大学を追いかけて、提供するプログラムを単純に英語化してしまうと、競争相手が増えるだけです。私は、無理に全ての授業を英語で提供する必要は無く、日本の大学はもっと日本の良さを知り、分析してカリキュラムを提供していくことが重要だと考えています。日本の良さは、今話題になっているポップカルチャー以外にもたくさんあります。例えば、歴史や文化の深さ、現代ハイアート、日本独特の社会構造などがあります。ビジネスの面で日本に興味を持つ人もいます。イギリス人は、日本の企業のマネジメントサイクル、意思決定システム、サプライチェーン・マネジメント、先端技術など、日本企業の独特な強みを知りたい人も多いです。

日本語に興味を持つ人もいます。実際に、日本のある大学がロンドンで行った日本留学フェアでは、50人想定のイベントで400人集まったこともありました。オックスフォードでも日本でのインターンの募集があると、応募が殺到しています。

ギャップイヤーの学生を受け入れるコースを柔軟に展開することも、留学生を増やすための教育環境作りへの一つの可能性だと思います。イギリスでは、留学の方法(タイミング)が異なっているため、イギリスから日本に留学するチャンスが狭くなっているのです。例えば、高校生は大学入学前に、大学生は大学卒業後にギャップイヤーを取って1年間海外留学やボランティア活動を行う人が多いですが、彼らは大学に所属していないため、提携先との交換留学制度が主流な日本の大学で学びたくても機会がなかなかありません。

もう一つ、日本の大学は卒業を厳しくすることが大切です。試験の評価の仕方も課題です。イギリスでは、厳しい成績評価、学位授与の基準があり、試験は外部試験官を採用し、厳重に採点が行われます。日本では、授業を教えている先生のみが生徒を評価していることが多いのではないでしょうか。授業を受ける人数が多すぎるため、正当な評価プロセスがし辛いこともあるのかもしれません。

- 最後に、これからオックスフォード大学に留学をしようとしている人へメッセージをお願いします。

英語を勉強すること、自信を持つこと、チャレンジをすることです。出願における課題の一つは英語です。また、オックスブリッジはあまりにも手が届かないと思っている人がいますが、それは絶対にありません。イギリス人もアメリカ人も皆同じように思っています。大切なのはチャレンジしてみることです。

イギリス、オックスフォード大学に留学することは、絶対に人生にとってプラスになります。社会人にとっても、ビジネススクールや公共政策大学院、リサーチフェローなど、たくさんのチャンスがあります。イギリスは途中から専門分野を変えても大丈夫な環境です。様々なバックグランドの人を大歓迎しているので、多くの人にチャレンジして欲しいです。

聞き手の木村とアリソン・ビール氏

<インタビュー後記>
イギリスや日本の高等教育に明るいアリソンさん、インタビューを通じて日本に対する愛情を感じました。私も留学中、教職員生徒含め多国籍な環境が当たり前で、イギリス人、留学生関係なく「学生」として扱われました。学生や教授陣が行きたくなるような環境作りには、研究や教育力、資金調達力といった教育インフラの整備、奨学金や生活環境という身近な改良が改めて大切だと感じました。

アリソン・ビール(Alison Beale)
オックスフォード大学セント・ヒルダズ・カレッジ卒業。シェフィールド大学日本研究修士号取得。JETプログラムで来日後、18年にわたって国際交流や文化交流に従事。中国、トリニダード・トバゴ、日本でブリティッシュ・カウンシルの管理職を歴任。2009年から2012年まで、日本のブリティッシュ・カウンシルで副代表を務める。2012年より現職。
木村 大輔(聞き手)
青森県出身。(一社)グローバル教育推進プロジェクト(GiFT)グローバル教育プロデューサー/青森中央学院大学地域マネジメント研究所客員研究員。日本大学文理学部卒業、在学中ケンブリッジ大学に留学。青少年教育団体、金融機関を経てオックスフォード大学国際開発学大学院、オーストラリア国立大学公共政策大学院修了。帰国後コンサルタント・国際交流コーディネーターとして政策調査、国際事業立案、研修講師等に携わる。

オックスフォード大学日本事務所では定期的に教授を招いて公開講座、進学説明会や出発前オリエンテーションといったイベントを行っています。積極的なご参加お待ちしています。

※個別の留学相談は行っておりません。
ウェブサイト:http://oxfordujapan.org/?lang=ja
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オックスブリッジ100人委員会より