【沿線革命044】 人口急増の湾岸部の交通を良くできるか、あと半年が勝負

阿部等(交通コンサルタント)

【040】東京都発表の湾岸BRT基本計画は中身より外見優先?

東京都は、さる4月28日に『都心と臨海副都心とを結ぶBRTに関する基本計画』を発表した。

示された将来の常住人口と就業人口から計算すると、東京メトロ有楽町線・都営大江戸線・りんかい線・ゆりかもめがカバーしないエリアの1日当たりの移動ニーズは、2019年には15万以上、五輪後には20万以上となる。

BRTの利用人数は、マイカーという最大のライバルに対抗してどれだけ便利なサービスを用意できるかによるが、その根幹となる所要時間と運行頻度は、中間整理に引き続いて示されなかった。

その一方でデザインの検討にずいぶんと力が入れられ、湾岸部の交通の未来に大きな不安を感じる。

高速かつ高頻度の運行には、専用レーンの確保・優先信号の導入その他、多くの関係者を交えて調整しなければいけないことが膨大にある。実現したい所要時間と運行頻度の案を早い段階で提示し、関係事項を精力的に整理しなければ実現できないのに、その動きがない。

私の提案を改めて示すと以下となる。

徹底的に高頻度運行として待ち時間を短くする(独自に作成)

これだけ高頻度運行としても、所要時間が短くかつ定時性が高いと、車両と運転手の回転効率が高くなり、それらの必要数は思いのほか少ない。1便当たりわずか12人の乗車で損益分岐点を越える。

所要時間が短いと、運行頻度が高くとも必要な車両と運転手は思いのほか少なく、低コストとなる(独自に作成)

【043】「東西線混雑&湾岸部鉄道不足」の解消へ、豊洲-住吉の新線を東京五輪までに

豊洲-住吉は、東京メトロ有楽町線を分岐させて地下鉄を建設する今の構想では、事業費が1,500億円程度となり工期も長い。

「ゆりかもめ」の延伸に変更(https://www.google.com/maps/d/edit?mid=z2KBFWZs7m6o.kYUoqv_FB35E&usp=sharing)すれば、事業費は500億円程度となり工期も短くなる。乗り降りの上下移動は少なく、運行頻度は地下鉄より高く、輸送力も心配ない。

2020年東京五輪までに開業することも夢ではないかも知れない。

多くの人の期待

おそらく多くの人は、以下のように考えているだろう。

地下鉄が大都市の交通システムとしては最も優れ、投資額は莫大となるが、未来を見越して思い切って建設すべき。それが無理だとしたら、「ゆりかもめ」を豊洲から新橋へ伸ばして環状運転としたい。

それも無理だとしたら、バスより電車の方が良いから、LRTを実現したい。BRTは、国や地方の財政も厳しく、人口減少時代も迎える中、仕方なく受入れるもの。ロープウェイなど、観光地のアトラクションに過ぎず、日常の交通として役立つものではない。

不動産広告としても、「地下鉄湾岸線(仮称)晴海駅から徒歩8分」なら価値が高いが、「ロープウェイ晴海3丁目駅から徒歩3分」と言われてもピンと来ない。

湾岸部の交通のベストソリューション

それらに対して、私の提案はことごとく期待を裏切るものだ。地下鉄は高コストかつ低利便、「ゆりかもめ」の都心延伸は地元が大反対で実現不可能と全面否定した。

日本の現状では、LRTよりBRTの方が絶対に得策だ。LRTは、線路や架線の設備投資を要する上に、定員1人当たりの車両製造費はBRTより高く、運転操縦1時間当たりの運転士人件費も高い。さらに、加減速性能が劣り、最高速度は大差ない。

LRTはBRTより、投資額も運営費も高い上に、走行性能が劣るのだ。電車好きの人の夢を壊すようだが、湾岸部の明るい未来を拓くには、多くの人に現実を知ってもらいたい。

イノベーションによりLRTの車両が低コストかつ高性能となり、鉄道とバスの運転士免許を同等とするように規制改革されれば、事情が変わるが、実現までに時間が掛かる。

私が推奨する湾岸部の交通のベストソリューションは、以下の3つである。
 ・信号がほとんどない環状2号線にBRT:徹底的に高速・高頻度運行
 ・幅員は広いが信号の多い晴海通りにロープウェイ:駅を多く待ち時間ゼロで運行
 ・ゆりかもめ豊洲-住吉延伸:東京東部・千葉・埼玉東部方面の各放射線と結節

地下鉄やLRTの新設、また「ゆりかもめ」の都心延伸と比べ、高利便かつ低コストである。工期も短く、関係者の合意がこれから半年以内にまとまれば、3つとも2020年東京五輪に間に合わせることも夢ではない。