中野製薬 中野耕太郎社長「自由に意見を言える環境づくりや、勉強会などの成果で、ヘアワックスのヒット商品ができた。経営に偶然はない、と実感しました」

仲間 美容師たちとの会食風景。楽しげな雰囲気が伝わってくる。写真左手奥の人物が中野氏

異論

敬愛する人物は、上杉鷹山(米沢藩主)です。名言「成らぬは人の為さぬなりけり」は私のポリシー。藩の財政復興のため、様々改めた折には異論も噴出したでしょう。しかし鷹山はやり遂げた。私も経営者として、全体のために何かを為すべしと思った時は、彼と自分を重ね合わせ、勇気をもらっています。

ご馳走

趣味はゴルフです。ゴルフは、紳士のスポーツとも言われ、マナーなどビジネスに通じる要素も多く、社内でも福利厚生の一環としてゴルフ部として活動しています。好きな時間は夕食時です。家族や社員やお客様と楽しく話しながら食べれば、質素な食事も大ご馳走ですよ(笑)。

ルール

私の経営は、皆を引っ張るのでなく、後ろから押すイメージです。たとえば「批判や文句は言わず、前向きな意見を言う」など10ヵ条の経営指針だけを決め、年齢別、部署別、男女別など、様々なチームを組んで具体的な施策に落とし込んでもらっています。すると例えば女性チームから「女性のための環境整備を考えたい」などと具体的な施策が出てくる。ルールはみんなでつくればいいんです。しかも、様々な集団をつくり、各々話し合ってもらうと、自然と社内の風通しがよくなりますよ。

親心

美容師さん向けのセミナーや、新人美容師さんのコンテストなどを行っています。美容という仕事の価値を高め、さらには若い人に自信をつけてもらうためです。美容業界は、いい腕を身につけ、信頼を集めれば、必ず素晴らしいお客様がついてくれます。同時に弊社も、若い人を応援することは必ず未来への種まきになる、とも考えています。

未来

弊社の広告メッセージは「さぁ、美容室へ!」です。例えばテレビで一般の方が美しく変身する番組などを見ると、必ず髪型を変えますよね。言うなれば、髪は人の雰囲気を最も大きく変えてくれるツールなのです。そして、世の皆様方がもっと美しくなれば、きっと社会は今よりもっとよくなる。私の夢は、そんな未来を創りあげ、中野製薬の社員やその家族が「いい会社にお勤めですね」と言ってもらえる企業に成長させることです。

(取材・文/夏目幸明)
『週刊現代』2015年5月30日号より

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日本一社長を取材している記者の取材後記

中野社長は、社内に英語の講師なども招き、社員たちの「学び」をサポートしている。筆者は、中野氏が語らなかった苦労を想像する。私は大学で講義をしているが、なかなか人は自分の時間を使ってまで学ぼうとはしない。せっかくの善意は、空回りしかねない。だから、一生懸命「いや、役に立つんだよ!」などと笑顔で話したり、個人的に信頼関係を築いて「一度おいでよ」と誘ったり、実は「教える」側が一苦労なのだ。サービスって、難しい。社員に対するサービスは、むしろ顧客に対するそれより難しい。そこも踏まえて中野氏の言葉を聞くと、また、別の趣が立ち上がってくる。


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