[トライアスロン]
白戸太朗「競技ではなく、生涯スポーツとして」

スポーツコミュニケーションズ

 普及のため、楽しむ機会の提供を!

日本国内でもホノルルのような楽しめるレースが人気だ

 現在、国内だけでも200を超えるトライアスロンがある中で、人気の大会をあらためてみてみると、ホノルルトライアスロンのような雰囲気の柔らかい大会が人気を集めている傾向にある。宮崎シーガイア大会、館山大会、九十九里大会など競うよりも、トライアスロン楽しむ機会を作ることに重きをおいている大会が増えてきた。これは競技志向者だけでなく、愛好者人口が拡大し、競技人口における三角形の底辺部分が広がっていることの証明ではないか。今まではその部分は少数派で、業界内では重きを置かれる人々ではなかったが、全体のパイが大きくなる段階で底辺拡充のタイミングに差し掛かったということなのかもしれない。

 この傾向はマラソンなどにも当てはまる。この10年で競技重視ではない、参加型都市マラソンが増え、愛好者人口が一気に増加した。週末の皇居や大阪城公園に行くと、もはや何かのイベントのように多くの人が走っている。これは競技会ではなく、スポーツイベントに重きを置いた大会が増え、底辺部分が大きくなったことが最大の理由といえるだろう。今までは走ることに無縁であったような人が、気軽に参加できる雰囲気が整ってきたということなのではないか。

 

草の根レベルで普及を進めることが大事

 つまりスポーツが発展する段階で、競技人口の底辺部分である「初心者層」がいかに楽しめる環境を作り出せるのかが、大切だということが分かる。その部分に重きを置けない競技には人口拡大はないし、ひいてはスポーツの衰退にもつながってしまう。しかし、残念ながら競技団体の中には、強化のみを重視する傾向がまだまだある。競技志向でなく、生涯スポーツとして楽しみたい人を受け入れられる環境づくりは、後手に回っていることが多いのが現状。「メダルを獲ってメジャースポーツに!」というのはよく聞かれる話だが、それはあくまでもカンフル剤であって、本当の普及につながるのかというと、かなり懐疑的にならざるを得ない。

「競技ではなく、生涯スポーツとして楽しめる機会の提供」
 これこそが人口減少のなか、各種目が生き残っていくキーポイントになっているのではなだろうか。

<白戸太朗(しらと・たろう)プロフィール>
 スポーツナビゲーター&プロトライアスリート。日本人として最初にトライアスロンワールドカップを転戦し、その後はアイアンマン(ロングディスタンス)へ転向、息の長い活動を続ける。近年はアドベンチャーレースへも積極的に参加、世界中を転戦していた。スカイパーフェクTV(J Sports)のレギュラーキャスターをつとめるなど、スポーツを多角的に説くナビゲータとして活躍中。08年11月、トライアスロンを国内に普及、発展させていくための新会社「株式会社アスロニア」の代表取締役に就任。13年1月に石田淳氏との共著で『挫けない力 逆境に負けないセルフマネジメント術』(清流出版)を出版。
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