【物件選びの知恵004】 杉並区、豊島区は「駅遠」物件にもチャンスあり!?

田中 歩(不動産コンサルタント)

人気の世田谷区はどう分析できる?

例えば、リクルート住まいカンパニーさんが発表している「住みたい行政市区ランキング」のトップを飾っている世田谷区を見てみましょう。

世田谷区の住宅地における平成24年から平成27年の価格変動率と、最寄駅までの距離をグラフにすると次のように表現できます。

<世田谷区 平成24年度から平成27年度の公示価格変動率と最寄駅までの距離の関係を示す散布図>

この表は散布図と言われるものですが、ご覧頂くと判るように、最寄駅に近いほうが価格上昇率は高く、最寄駅から遠くなるにつれて価格上昇率が小さくなっているのが判ります。これを、数学的に解析すると一次関数が得られ(グラフ上の直線)、計算してみると、その傾きは、+1mあたり▲0.114%となります。

これが意味するところは、「世田谷区における平成24年~平成27年の公示価格の変動率は、駅からの距離が100m遠くなる毎に(近くなる毎に)、その価格変動率が11.4%下がる(上がる)」ということを意味します。

世田谷区の住宅地にある平成27年度の公示価格の平均値は512,410円/㎡、平成24年1月1日~平成27年1月1日の間の平均価格上昇率は2.36%ですから、概算してみると、最寄駅からの距離が100m違うと、この3年間で約1,400円/㎡の価格差が生じたということになります(512,410円/㎡×2.36%×11.4%)。

このように、価格変動率と最寄駅までの距離における相関係数である傾きの絶対値は、大きければ大きいほど、区内の価格較差は拡大する傾向が強いということになります。

次に、同じデータを用いて、各区毎の「平成27年度公示価格」と「最寄駅までの距離」の関係を分析し、最寄駅までの距離が1m変化するごとに、価格がどの程度変化するかを調べます。

世田谷区の場合、以下のような散布図で表すことができます。

<世田谷区 平成27年公示価格と最寄駅までの距離の関係を示す散布図>

この散布図も同様に、最寄駅に近いほうが公示価格は高く、最寄駅から遠くなるにつれて公示価格が小さくなっているのが判ります。これも、数学的に解析して一次関数を求めると、その傾きは、+1mあたり▲150円となります。

これが意味するところは、「世田谷区における平成27年の公示価格は、最寄駅からの距離が100m遠くなる毎に(近くなる毎に)、その価格が15,000円/㎡下がる(上がる)」ということです。

世田谷区の住宅地にある平成27年度の公示価格の平均値は512,410円/㎡ですから、最寄駅からの距離が100m違うと、約2.9%の価格差が生じる地域であることが判ります(15,000円/㎡÷512,410円/㎡)。

こうして見ると、世田谷区は、私たちがイメージしている「駅から近いほど価値が高いし、価格が高く成りやすい」という極めて典型的な地域にあてはまります。