浅田次郎佐藤優江崎玲於奈天野篤ほか 日本の識者30人が毎回観ている「教養が身につく」テレビ番組——そんな見方があったのか!

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「トマ・ピケティは『21世紀の資本』でこう主張しています。社会の上位1%が世界の富の大半を持っている世界が20世紀初めまで存在していた。それが戦争などを通して平均化していったのが、21世紀には階級社会が復活するだろう、と。

このドラマは、100年くらい前のイギリス貴族階級社会を描いており、階級社会の風俗がどんなものか勉強できます。実写版『トマ・ピケティの世界』と言えます」

笑いは教養、無意味は哲学

識者の答えの中でも目立つのが、ドキュメンタリー番組を挙げる声だ。

元日本マイクロソフト社長の成毛眞氏は、『ドキュメント72時間』(NHK総合)を挙げた。

「とある街角に3日間にわたり密着し、政治や経済ではなく市井の人々の現場を取材する番組です。

スタジオセットに座ったまま、耳触りのいいことを話すコメンテーターを並べるだけの番組では、現場取材のリアリティには太刀打ちできないでしょう。これからの報道のあり方を示している番組かもしれません」

世界の芸術や都市についての著作がある評論家の海野弘氏は、『ドキュメント72時間』に加えて、『出没!?アド街ック天国』(テレ東ほか)を挙げた。

「『アド街ック天国』では、どこかの街を一つ取り上げ、細やかに店や名物が紹介されます。『ドキュメント72時間』もそうですが、綺麗な風景だけではなく、路地裏の景色を垣間見ることができる。

都市というのは、表と裏で成り立っています。大通りの整った部分と、そこから見えない裏町、または昼と夜。夜になると怪しいものが蠢いたりする。両方を見ることで、都市の魅力や奥深さを理解できる。光と影を知ることが大切なのは、人間も同じでしょう」

さらに、意外なバラエティ番組を挙げた識者を紹介しよう。ノーベル物理学賞受賞者の江崎玲於奈氏が語る。

「50年近く、『笑点』(日本テレビ系)を毎週観ています。桂歌丸を筆頭に、6人の落語家の面々は世情に長け、頭の回転が早い。大喜利という舞台で、それぞれが独自の視点から発する『笑い』こそ、評価すべき教養といえるのではないでしょうか」

似顔絵作家の山藤章二氏は、『全力坂』(テレ朝系)の「何も伝えない」ところに感心するという。

「都内の急な坂道を、若い娘がハアハアと全力で駆け上がる。それをカメラがコメントなしで追いかける。見事なまでに、無思想、無意味です。