この先、何が起こるのか あちこちで煙が上がり、動物たちは逃げ出した「箱根山噴火」現地取材で分かったこと

週刊現代 プロフィール

辺りに漂う臭気も、明らかに以前より強くなっている。

大涌谷で噴気を上げている火山ガスは、冷水と混合することによって温泉水として調整され、強羅や仙石原などの多くの別荘や旅館に供給されている。泉質に何らかの影響は出ていないのか。

強羅に別荘を持つ、50代の男性が語る。

「うちの別荘でも温泉を引いていますが、確かに刺激臭が強くなりましたね。私は毎週末のようにこの別荘で過ごしますが、変化が出てきたのは、GWの少し前くらいからです」

本誌記者はさらに噴火の前兆を探るべく、大涌谷から北北西約5kmに位置する金時山に移動。大涌谷を遠望できる山頂付近の山小屋で約70年間働いている、小見山妙子さん(82歳)を訪ねた。

「最近は、大涌谷近くの山肌が赤茶けているのがよく見えますよ。土砂崩れの影響でしょうね。これが地震のせいなのか、岩盤が緩んでいるからなのか、それは分かりませんけど、箱根山に変化が起きているのは確かです」

小見山さんは、昨年11月に本誌がスクープした「箱根山の新たな噴気孔」を教えてくれた人物でもある。

以前はまったく噴気が見られなかった大涌谷の北側の斜面から、もうもうと白煙を上がっている—。小見山さんからの情報提供を受け、本誌は現場へ急行。噴火の前兆ともいえる、新たな噴気孔の存在を目の当たりにしたのだ。

あの噴気は今、どうなっているのか。

「そういえば、あの噴気は金時山からは見えなくなっていますね」

その言葉を聞き、本誌記者は以前訪れた噴気孔のあった場所へ足を運んだ。尾根の斜面全体を覆うような噴気は、まだ上がり続けていた。ただ勢いは、確かに昨年ほどではない。まるで、大涌谷へとその勢いを奪われたかのようだ。

武蔵野学院大学特任教授で火山学者の島村英紀氏が解説する。

「噴気は地下水がマグマによって温められ発生するものですから、それが移動するということは、マグマも動いていると考えられます。ただ今の地震学では、噴気の場所や発生の時期を予測するのは非常に難しい」

噴気は高温なだけでなく、二酸化硫黄などの有毒なガスを含むケースが多くある。つまり現在の箱根は、毒ガスがいつどこで突如として発生しても、何らおかしくない状況なのだ。