【沿線革命042】 経営危機の湘南モノレールをドル箱路線に

阿部等(交通コンサルタント)

7分30秒おきのきれいなネットダイヤ

湘南モノレールは全線が単線で、上下列車は行き違い設備のある駅でしかすれ違えない。

月~土曜は6時前から21時頃まで、休日は9時過ぎから19時頃まで、7分30秒おきのきれいなネットダイヤとなっている。「ネット」とは網のことで、ダイヤ図で表すと、きれいな網となる。

湘南モノレールは7分30秒おきのきれいなネットダイヤ(公開情報から独自に作成、着時刻は推定)

ダイヤとは、横方向を時刻の経過、縦方向を位置の移動(駅)としたグラフである。1本ずつの線は「スジ」と呼ばれ、列車の動きを示す。

左上から右下のスジ(下り列車)と左下から右上のスジ(上り列車)が交わる箇所がすれ違いである。複線の鉄道ではどこでもすれ違えるが、単線の湘南モノレールでは、富士見町・湘南深沢・西鎌倉・目白山下の4駅ですれ違う(行き違う)。

7分30秒おきの運行だと、3分45秒おきに対向列車と行き違うことになる。それより長い所要時間の行き違い駅間があると7分30秒おきのダイヤは組めない。逆に極端に短い所要時間の行き違い駅間があると対向列車待ちのムダ時間が生ずる。

湘南モノレールは、単線として投資額を抑えるとともに、行き違いできる駅を所要時間の等間隔で配置した非常に優れた設計である。

6分おきのネットダイヤに改めよう!

湘南モノレールの運行頻度を上げるには複線化しなければいけないと思うだろうが、さにあらずである。現行、行き違い駅間を3分45秒(停車時間を含む)ずつ要しているのを、全ての行き違い駅間を3分以内に短縮できれば、6分おきのきれいなネットダイヤとできる。

下のダイヤは現行のダイヤと似ているが、よく見ると2つの点が異なる。

きれいな6分おきとしたネットダイヤ(独自に作成)

7分30秒おきと比べ6分おきはスジとスジの間隔が狭まる。7.5分の6、すなわち5分の4倍だ。

同時にスジが立っている。スジが立つとは、スピードが速い=所要時間が短いということだ。所要時間はスジの間隔と同様に5分の4倍となる。スジの傾き=速度はその逆数で4分の5倍となる。

私はこれを「アコーディオンの法則」と称している。現行のダイヤと比べて横方向を5分の4倍に圧縮する。スジの間隔は5分の4倍となり、傾きは4分の5倍となる。

そして、変わらないことがある。スジを両端の折り返し駅でつなぐと、車両の動き(「運用」と称する)が分かる。その数は5で、運用数と称する。ある時刻で引いた縦線とクロスするスジの本数と同じである。

運用数は、必要な車両の編成数と乗務員のペア数を示す。湘南モノレールはワンマン運転でなく車掌も乗務しているので、ペア数=運転士の人数=車掌の人数である。車両は朝から晩まで走り通しでも問題ないが、運転士と車掌は適当な時間毎に交替して休憩する。

以上から、5分の4倍に運行間隔を縮める=4分の5倍に増発することと、所要時間を5分の4倍に短縮する=スピードを4分の5倍にすることが、車両と運転士・車掌を増やさずにできることが分かる。

動力費(電気代)は増すが、鉄道の運営費全体の中での比率は低い。稼働率が上がる設備と車両の保守費も増すが、車両と運転士・車掌の増大によるコスト増よりはずっと少ない。