あの「車椅子社長」を支えた女性はこんな人だった。体が強いほうではなかったのに、結婚してからは風邪ひとつ引かなくなった理由。

春山 由子

毎晩の二人でのビールが気分転換の儀式

── 本の中ではプチ家出を1回だけしたというのも出てきますが、それ以外に本当に放り出したいと思うことはなかったですか?

春山 それはまったくなかったです。難病を抱えた主人と二人の子ども。彼らを放って出るなんて考えられなかった。自分が選んだ道ですし。

── つらいときに誰かに愚痴をこぼしたことはなかったですか?

春山 それを言った自分を想像するとできなかったですね。天に唾するようなもので、結局すべては自分の責任、自分が選んだ道だからというところに戻ってくるんですね。

── やはりそこに戻るんですね。本の中では一時期、寝酒のブランデーにはまったこともあるという記述が出てきますが、どれくらい続いたんですか?

春山 3ヵ月くらいでしょうか。そうしたら胃の調子もちょっと悪くなってきて、ある日ブランデーを飲んだ瞬間に目の前に自分の胃がパッと浮かんできて、胃の壁をブランデーが滴りながら流れていくのが見えたんですね。「わっ」と思って、その瞬間にやめようと思いました(笑)。

── 一時期のお酒以外にストレス解消法というのはありましたか?

春山 本を読むことと、あとは小さい頃ピアノを習っていたので、夜にみんなを寝かして家事が終わってから1時間ほどピアノを弾き続けてスッキリというのはありました。ヘッドホンで音が外に漏れないようにして弾くんです。

── そうしたたいへんな日々でお二人の楽しみというのは?

春山 毎日、お風呂からあがってから、「お疲れさん」といいながら二人でビールを飲むときでしょうか。ある意味儀式みたいになっていました。

── そういうときは仕事の話はされないですか?

春山 するときもありましたけど、あまり込み入った話はしなかったですね。仕事でいろいろなことがあってもビールを飲んで「お疲れさん」とリセットする。それが良かったと思います。

── 家族でご旅行もいろいろ行かれていましたけれど。お子さんが小学生のときは春と夏と冬は必ずですか?

春山 旅行は主人も私も好きだったんですよね。それに子どもにふだんは何もしてあげられなかったんで、子どものためというのは大きかった。休日も仕事がないときはずっと家にいましたしね。せいぜいお墓参りに行くくらいです。