大阪都構想は、マジで洒落にならん話(1) ~賛成する学者なんて誰もいない編~
文/京都大学大学院教授 藤井聡

「都構想」賛成の学者なんて、ホントはいない。

もしも一人の例外も無く全ての専門家が完璧な「ダメだし」をしてるのなら、多くの大阪市民達も、都構想が大阪を救ってくれるだろう、という薄淡い期待を持つこともなかったに違いない。

しかし「不幸」な事に、都構想さえやれば未来が開けるかのような淡い期待に対して、「大丈夫、それで正解ですよ」と甘く語りかける学者達がいたのだ。本誌にも寄稿している佐々木信夫教授、高橋洋一教授、そして、他誌で精力的に都構想賛成論を展開している上山信一教授の三人だ。この三人がいたからこそ、多くの市民が「得体の知れない都構想」を支持してもいいかも、という気分が正当化されたのである。

しかし、彼らは皆「大阪市特別顧問」であることをご存じだろうか(ただし佐々木氏は、本年3月末日まで)。いわば彼らは、自分が提案した「都構想」という作品を、世間に宣伝しているのではないかと疑われても仕方ない立場にあるわけだ。

しかも、彼らの内の佐々木氏と上山氏は、顧問就任する「前」に「都構想」を批判していたのだ。

上山氏は、「図書館が府と市で二つあって無駄だとか…けち臭い話…。稼働率が高けりゃ置いとけばいいし、改善が進んでいる(府も市もあほじゃない)。」とツイートしている(2011年10月26日)。つまり、今、大阪市民が都構想に賛成する最大の論拠としている「二重行政」論を「けち臭い」とまでこきおろしたわけだ。

さらには同じく都構想を賛成する重要理由である「大阪市は無能だ論」に対して「市もあほじゃない」という形で、最大級の非難を差し向けている。これではまるで「反対派の急先鋒」だ。

そして佐々木氏に至っては、同じく顧問就任前に「都になれば成長するわけではない。東京が繁栄しているのは企業の本社機能が集まっているためで、都制という自治制度とは関係ない」とまで言い放っている(日経2011年12月11日)。

つまり、今、橋下氏がTVコマーシャルで喧伝しまくっている「都構想で大阪を豊かにする」というメッセージに対して強烈な冷や水を浴びせかけていたわけだ。さらには、同じインタビューで、都構想を成立するため(の財源捻出のため)には「現在の大阪市の行政サービスの水準を下げ」ざるを得ないとまで述べている。

これもまた、「反対派の急先鋒」とまでメディアで紹介される筆者が本誌で論じた論調そのものだ(なお、高橋氏の都構想の賛成論については、以前、当方BS11のニュース番組で1時間弱、一対一の討論をしたのだが、その際に彼の都構想を支持する各論点を批判しておいたのでここでは割愛したい。ご関心の方はネット動画等検索の上ご確認いただきたい)。

つまり特殊な立場である顧問を対象から除外するなら、都構想に熱烈な賛同を示している都構想に関する分野の学者なんて一人もいないのである(もしおられるなら是非教えていただきたい)。何と言っても佐々木氏や上山氏ですら、顧問就任以前には都構想に賛成どころか強烈な批判を差し向けていたのだから。