日本の死因第1位はガンじゃない!? 産婦人科実録コミック『透明なゆりかご』作者・沖田×華インタビュー

---第1話の中絶した胎児をケースに入れる仕事は大変ショッキングでした。当時、沖田さんは准看護学科に通う高校生ですよね。看護師の免許がない立場でできるということは、その仕事は医療行為ではないということですか?

そうです。母体から出された中絶胎児を専用のケースに移して、専門の業者さんに渡すだけ。12週未満の中絶胎児は医療廃棄物なので、この仕事は"お片づけ"でした。ちなみに妊娠12週をこえてからの中絶は死産扱いになって戸籍に残ります。役所への届け出が必要ですし、火葬もするので葬儀屋さんの手配をしてもらうことになります。

悪者は誰か

---『透明なゆりかご』は、他の作品を描いている時に思いついたそうですね。

そうですね。3年くらい前に『ギリギリムスメ』という連載の準備中、話作りににつまってしまって。こっちの方が描けるので企画を変えてもらおうと思ったんです。でも担当編集さんに「すでに雑誌に予告が打たれているので無理です」って言われました。当然ですね(笑)。

じゃあ別の出版社に持ち込もうかなと。それから1年半くらい経った頃、「あの話やりましょう!」と言われて今に至ります。

---先ほどもお話がありましたが、中絶が死因第1位だったのは驚きました。沖田さんのいた病院ではどのくらいの頻度でありましたか?

個人病院なのでそんなに大きくありませんが、必ず1日に1件、多くて3件くらい。入らない日はありませんでした。特に夏休みが終わったくらいの時期は連チャンでしたね。その頃は高校生もしくは大学生が多かったです。今は15歳未満が増えているという話を聞いています。

一方で、出産はその日分娩といってずれることもあるので、入っていないこともありました。2件入っていると忙しいなと思うくらいです。

---死因の1位が中絶だときいた時のことを覚えていらっしゃいますか?

「えーーーっ!?」という感じでしたね。言い方は悪いですが、「ヘマする女の人ってそんなにいるの?」って。

バイトをする前の私は、女の人が悪いと思っていました。この人が痛い思いをしても、それは仕方のないこと。月並みですけど、赤ちゃんはもっと痛かったのだからって。病院の看護師たちも「カレシ カノ女の間でできた子を中絶する女は自業自得」と言っていて、中絶する女性の気持ちはまったく考えていませんでした。

---『透明なゆりかご』は、自身の障害や家族のことを描いた沖田さんの今までの作品とは立ち位置が異なります。当事者じゃないことで、表現など難しいことがあったのではないでしょうか。その中で「これだけは描きたい」と思ったことはありますか?

自分のことだったらいくらでも面白おかしく描けるんですけど(笑)。妊娠・中絶はすべての責任を女性が背負っています。子供は一人じゃつくれないのに、妊娠したことで男や親に責められ、誰も味方がいないという状況がとても不思議でした。10代だとお前がだらしないからこうなってしまったと言われたり。

産まないという選択肢は良いイメージのことではありませんが、考えた末の結論であり結果です。この漫画では妊娠・中絶という結果にスポットを当てるのではなく、それぞれの事情や背景をしっかり描くようにしています。産まない選択をした人が即ち悪、という図式にはしたくないですね。