「日本にはスタートアップとM&Aの数、そして失敗の共有が足りない」 『未来をつくる 起業家』著者、ケイシー・ウォール氏に聞く

佐藤 慶一 プロフィール

「失敗・苦労の話を共有する場が増えてほしい」

「ぼくは起業家として投資家として、さまざまな情報を必要としていました」

これまでに投資家としては、「Sharebu Kids」という子供服のECサイトや(もうすぐクローズするそうだが)、スタートアップコミュニティを強化するために、優秀な人材とスタートアップ企業をマッチングするサービス「Justa」などに投資をおこなってきた。だが、ベンチャーキャピタルとして持株比率を失敗したこともあったというウォール氏。実際に起業家の話を聞くなかで、失敗経験や立ち上げの苦労などのストーリーが足りていないと感じていたという。

この書籍プロジェクトでは、2014年4月~12月にわたり取材を実施。まず2~3名の知り合いから声をかけ、最終的に30名ほどの候補のなかで20名のストーリーを収録している。環境変化が早いスタートアップ起業家が対象であるだけに、最新情報をアップデートするため、出版の1週間前にも追加取材をおこなったそうだ。日々、テックニュースは多く目にするが、書籍としてスタートアップの事例や考えをストックするのは日本では珍しい。

ストーリーを聞いていくと、いくつかのことがわかったという。たとえば、日本人起業家の特徴について、「経営者としての責任感がとても強い」とアメリカとの違いを述べる。「アメリカ人起業家はお金に対して執着していて、グリード(強欲)な感じ。日本では社員のこと、人生のことをちゃんと考えているように映ります。アメリカでは起業が多いぶん、失敗も多いですが、失敗しても大丈夫な環境があるのはすばらしい点ですね」。

日本のスタートアップ環境ではまだスタートアップやM&Aの数、起業経験のある投資家が足りない。そして、失敗の共有も少ないという。「失敗談を共有する『FailCon(フェイルコン)』(日本でも2014年6月に1回目を開催)のような失敗・苦労の話を共有する場が増えてほしい」。成功と失敗の共有、さらには持株比率など細かい情報なども多めに収録されている『未来をつくる起業家』は英語版も準備中とのこと。

「日本人起業家のビジネスストーリーを英語で読むことができる書籍はほとんどありません。収録されている経営哲学やマーケット感覚、テクノロジーなど20名のストーリーが英語で読めることは大きな意義があると考えています」。この本が、海外においては日本のスタートアップの認知向上、日本において新たなスタートアップ起業家の登場を促すことになるのかもしれない。

ケイシー・ウォール
東京とサンフランシスコに拠点をもつ人材紹介会社「ウォール アンド ケース」CEO。テック企業やスタートアップ系企業に特にパイプが強く、業界の常識にとらわれない革新的なサーヴィスを提供する。優秀ヘッドハンターに贈られる賞の受賞歴もあり日本語も堪能。『未来をつくる起業家 ~日本発スタートアップの失敗と成功 20ストーリー~』は日本語版を2015年3月に、Amazonほかオンライン書店限定で発売している。英語版は2015年夏頃発売予定。

著者: ケイシー ウォール(Casey Wahl)
『未来をつくる起業家 ~日本発スタートアップの失敗と成功 20ストーリー~
(クロスメディア・パブリッシング刊、希望小売価格:税込900円(電子書籍)、税込2180円→1080円(紙:6月末までセール中))

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