世界の就職「超」人気企業、Facebookが求めている人材とは。

オックスブリッジ卒業生100人委員会

ベンチャー精神の溢れるT字型人材

会社のイントラネットを見ると、自分より後に雇われた社員の人数が全体でどれくらいいるのか、その割合がわかる。このシステムによると、僕はたった3年で既に87.2%の人間より古株になってしまっている。入社当時130人弱だったロンドン支社も現在では700人を越え、オフィスも3回移転した。実はこの急成長を支えるのがベテランの雇用に主眼をおいた雇用戦略だと僕はみている。僕の入社オリエンテーションには元NASAのエンジニアと有名なエンジニアがいた。つまり新卒の学生をじっくり時間をかけて教育をしていくのではなく、前線で即戦力になる人間を優先するやり方なのである。

しかし、フェイスブックではスペシャリストというだけではたとえそのスキルが天才レベルであってもやっていけない。深い専門性と同時に、広い見識をもつゼネラリストでなければ仕事が進まない仕組みになっている。僕が過去勤めてきた会社では「T字型人材」は稀であったが、フェイスブックではそうでなければそもそも居場所がない。フェイスブックはシリコンバレー発祥の会社だけにベンチャーカルチャーを強く反映しており、仕事を与えられるというより自分でプロジェクトを立ち上げる場面が多いからだ。フェイスブックでは普段から自分のアイデアをピッチして、賛同した仲間同士でチームを組むので、商品開発からマーケティング、ビジネスモデルまでを全体的に把握した上で専門性の高い部分を説明出来なければならない。また他部署の社員と常に情報を共有する必要があり、自分の欲しい情報を得るために相手に如何に有意義な情報を提供出来るかどうかが重要なポイントとなってくる。

僕は広告代理店の、しかもクリエーター出身なので、自分の殻に閉じこもって作業をすることが多かった。しかしオックスブリッジではカレッジ制度というものがあり専門外の人間達とふれあう機会が多くある。アイデアの化学反応を半強制的に起こす特有の仕組みといっても過言ではないであろう。中でもドレスアップして参加するフォーマルディナーは、分野の違う赤の他人の話を聞き、自分の専門を分かるように説明しないといけないセッティングになっていて、ごく自然に協調性や会話術を身につけることが出来る。そのためか、社内のオックスブリッジOBは周りから支持を得る人格者が多い。僕自身もカレッジ生活を通じてフェイスブックで仕事をして行く上で欠かせないスキルを多く身につける事が出来たと思う。

ケンブリッジ大学の卒様式に向かう筆者(中央オレンジの傘)

「完全な失敗」を乗り越えられる人物

フェイスブック社内には様々なスローガンのポスターがある。「Move Fast and Break Things」や「Done is better than perfect」などが一般的には有名だが、僕は「Fail Harder」というポスターが特に好きである。テクノロジーの最先端で道なき道を進む際、成功への道のりを築いていくのは失敗しかないと考えるからである。しかし、これはただただむやみに失敗を繰り返せと言っているのではなく、戦略的な挑戦をし、「完全な失敗」(「やることは全部やったが失敗した」という改善の余地を残さない失敗)を如何にするかという話だと僕は理解している。フェイスブックで必要とされる人材は大きくトライし、全力でやれるだけやって、革命的な成功か「完全な失敗」にプロジェクトを導ける人材なのだと思う。