二宮清純「カープ菊池涼介、驚異の“勝利守備”」

二宮 清純 プロフィール

勝敗を分けた守備力

 きわめつけは最終回2死一、三塁の場面です。スコアは4対1と広島3点のリード。ホームランが飛び出せば同点です。

 迎えたバッターは横浜DeNAからFA権を行使して今季、移籍したばかりの金城龍彦選手。2000年には首位打者に輝いた好打者です。

 2死から連打をくらい、抑えの中崎翔太投手はアップアップの状態でした。ボールが上ずり、球にも威力がありません。ヒットがつながれば、ベンチも動かざるを得なかったでしょう。

 金城選手は5球目のシュートを二遊間へ。打球は高くバウンドし、普通のセカンドなら止めるのがやっとの当たりです。ところが菊池選手は、まるでこの方向への打球を予測していたかのように難なく追いつき、一塁走者の長野久義選手よりも一瞬早く二塁ベースを踏み、ゲームに幕を引いたのです。

 巨人はこの日、小林選手のタイムリーツーベースによる1点に終わりましたが、もしセカンドが菊池選手でなければ2、3点、いやチャンスでヒットがつながれば、もっと点をとっていたかもしれません。

 翻って巨人は新外国人ファン・フランシスコ選手の目を覆うような守備の連続で、自ら墓穴を掘りました。守備力の差が、これだけはっきりとスコアになって表れた試合は珍しいと言えるでしょう。

 1988年までNPBには「最多勝利打点」というタイトルがありました。もし「最多勝利守備」というタイトルがあれば、菊池選手は、いったいどれほどの数を記録するのでしょう。ふと、そんなことが頭に浮かびました。