患者さんには、言えません 医者が「やりたい手術」「本当はやりたくない手術」

週刊現代 プロフィール

「レーザー治療は、メスを入れずに短時間で終わり、日帰りできる点がメリットです。外科手術をすると、手間暇がかかるわりに保険点数も低くてカネにならない。てっとり早く儲けようと、椎間板ヘルニアのレーザー治療を行っている医者もいます。驚くのはその値段。1回の手術で100万円近く取るクリニックもあるんです。ですが、本来では治療の対象とならない患者まで無理に行って、トラブルが起こるケースも多いと聞きます」(都内総合病院・整形外科医)

治療費が高い上に、治療して後遺症が残っては、たまらない。そんな悪質な医者も中にはいるが、うまくカネ儲けをしている医者は、患者にそれを察知されるようなことは決してしないという。心臓外科医で、東京ハートセンターのセンター長・南淵明宏医師が話す。

「儲けるために行っている手術でトラブルを起こしたり、患者を死なせたりしてしまっては、告発されて医師生命にもかかわってきます。群馬大や千葉県がんセンターの死亡例はそういった発想とは程遠いものですが、儲けのことを考えている医者は、ヘマはしないものです」

つまり、失敗しない、リスクの低い手術をこなして数を稼ぎ、儲けるというわけだ。たとえば、内視鏡検査を勧めて小さな大腸ポリープが見つかる度に手術をする、命には別状のない下肢静脈瘤のリスクを強調して手術を勧める、などもそれに含まれるだろう。

早期の手術で数を稼ぐ

脳卒中の原因となる、脳の動脈瘤についても同様の傾向がある。くどうちあき脳神経外科クリニック院長の工藤千秋医師が言う。

「大きくなって破裂すると、くも膜下出血につながる脳動脈瘤ですが、2㎜以下の大きさであれば手術の必要はない。血圧を管理しながら経過観察することが治療のガイドラインで定められています。ですが、1・5mm程度でも『大体2㎜くらいですね』と患者に説明して手術する病院もある。小さいうちに手術したほうが短時間で済みますし、リスクも少ない。通常は動脈瘤の大きさによって保険点数は変わりませんから、病院にとってはメリットが多いのです。

患者さんからしたら、たとえ小さくても脳卒中の原因があることを画像で見せられたら不安になりますし、『〝爆弾〟を抱えたままでいいんですか?』などと医者から言われたら、手術を選ばざるを得ません。セカンドオピニオンが普及して、悪質なケースは減ってきていますが、まだやっているところはあるでしょうね」

脳ドックなどを受けてごく小さい脳動脈瘤が見つかることは多い。治療法だけでなく検査技術も進歩しているため、従来だったら見過ごされていた「見つからなくてもいい病気」が発見され、余計な手術をされる患者が増えているのだ。