青山学院大学陸上競技部監督 原晋「箱根駅伝連覇私はこう考えている」 戦いはすでに中盤戦 

『魔法をかけるアオガク「箱根駅伝」制覇までの4000日』刊行記念
週刊現代 プロフィール

青学では毎朝、輪番制で朝の一言スピーチを行っています。何の話題でもよいからみんなの前でプレゼンをさせる。また、6人を一グループとして互いの目標達成度を確認し合う目標管理ミーティングも行っています。そこで社会に出ても通用する、自分の考えを表現する力を養うのです。私は五輪など世界を目指す覚悟を持って実業団に進みたいという学生を除き、基本的には就職を勧めています。今年卒業した学生も大手金融機関や飲料メーカーに入社しました。彼らは就職試験の集団面接や自己アピールも苦にならなかったといいます。

批判も甘んじて受ける

箱根優勝時のスローガンだった「ワクワク大作戦」に続いて、今季、私は「コカ・コーラ大作戦」と名付けた作戦を実行しています。ペットボトルのコカ・コーラを想像してみてください。コーラは少し揺らしたり、振ったりしてからフタを開けると一気に噴き出しますよね。それと同じで、選手も少し刺激や緊張を与えて、溜めたものをバッと開放してやると120%の力が出る。開けっ放しだと炭酸が抜けてしまって美味しくないように、締まりのない組織ではいけない。やるべきことはきちんとやる。でも、タイミングを見計らってフタを開けてやらないと。そんなことを意識して指導しています。

確かに精神力を鍛えるのも大切です。古い陸上界の体質では、監督から叱られても我慢する忍耐の美学であったり、自分自身を社会と断絶する孤高の道が最善の策だと思われてきました。しかし私は、それは違うと声を上げて、駅伝、陸上の改革を目指しています。

反対派も少なくないでしょう。一回勝っただけで何を言っているんだというプレッシャーも感じています。でも、先日お会いした巨人の原辰徳監督に「批判が出てくるのはしかたがないこと。それが宿命なんだ。逆にそれを楽しまないといけない。暗いよりは明るいほうがいいよ」と言っていただきました。もともとの性格もありますが、明るくやっていこうと背中を押してもらえた気持ちになりました。

優勝の立て役者である「新・山の神」の神野大地主将を中心に、新チームの選手たちも、これまでにない重圧、重責と戦うことになる。周囲から求められるハードルも当然、高くなる。

選手間ミーティングの結果、今季の目標は箱根連覇、そして出雲、全日本でも優勝するという駅伝3冠に決まった。テーマは「その一瞬を楽しめ~最強への徹底~」だ。

現在、選手たちは週6日のトレーニングをこなしています。週末は記録会や地方のマラソンに出走し、その眼は10月の出雲駅伝、11月の全日本駅伝、そして箱根駅伝連覇を見据えているのです。

私は箱根のレース後から、普通にやったら来年も勝てると話していました。それについては自信があります。