青山学院大学陸上競技部監督 原晋「箱根駅伝連覇私はこう考えている」 戦いはすでに中盤戦 

『魔法をかけるアオガク「箱根駅伝」制覇までの4000日』刊行記念
週刊現代 プロフィール

講演では組織、チームをどういう段階を経て成長させていくのか、部下をやる気にさせる言葉、伸びる選手の10ヵ条など、いろいろな引き出しを用意して話しています。しかし、通底して訴えているのは人としての心構えである「覚悟」の必要性。中国電力という安定企業を辞め、身分保障のない3年契約の嘱託職員として私は青学にやってきました。そういう話を聞いてもらうと、覚悟って必要なんだなと自然にみなさんが納得されている気がするのです。

名付けてコカ・コーラ大作戦

異色のリーダーは各種オファーに応えるべく、東奔西走している。しかし、あまりのハードスケジュールに、その顔は年始に比べて、少々やつれたようだ。

人前に出ると良く見られたいから、痩せていくものなのかな。確かに身だしなみにも気を遣い始めました。それが良いプレッシャー、緊張感になっている。選手にとってもそうです。マスコミの方が毎日来る。取材を受けて、ある意味チヤホヤされるじゃないですか。そうするとね、前回箱根の10人のメンバーから漏れた、実力的に11位~20位の子が目の色を変えているわけです。活躍すれば旨みがあると彼らは体験的にわかったんですよ。それに箱根出場は在学中の4回しかチャンスがないですから。その子たちが頑張るのを肌で感じているから、走ったメンバーも気を抜けません。

「原はメディアに出過ぎだ」と快く思っていない人もいるようですが、私には勝手な使命感があります。

先日、日本実業団陸上競技連合がマラソンで日本新記録を出した選手に報奨金1億円を出すことを発表しました。素晴らしいことですが、私は個人を奨励する前にやることがあると思います。だって、日本記録を狙える人間なんて陸上界全体の、ほんの数%ですよ。それよりも陸上界が日々、注目を浴びるような仕組みを作るべきです。

日本で最高峰の大会である「日本選手権」のスタジアムを5万人の観客で埋めるためにはどうしたらいいか。それを先に考えるべきでしょう。子供たちにそこで見たアスリートに憧れを抱いてもらう。そして、競技人口を増やさないと。

そのことを訴えるためにあえて人前に出ていますと言いたいですね。

今、青学の選手たちにも色々な依頼が来ているんです。しかし、関東学生陸上競技連盟による決まりごとがあって受けられない案件もある。

陸上界ではマラソンランナーに1億円の人参をブラ下げる一方で、学生たちにはテレビはダメ、CMもダメという古い考え方の人もいる。教育を理由にしますが、それは詭弁ですよ。

もちろん箱根駅伝は学生のスポーツですから、あくまで教育の一環であることは理解しています。