第8回ゲスト:中谷巌さん (前編)
「ピケティが叩かれるのは、強力な富の再分配なしに資本主義が永続できないことを指摘したからです」

島地 勝彦 プロフィール

資本主義の黄金時代に、アメリカで感じたこと

中谷 その通りです。日本もそうでしたが、戦後の荒廃から復興するための中心的な役割を担ったのは40歳代の中間層でした。想像もしなかったような要職を与えられて、みんな必死に働いた。その結果、経済は復興から成長に転じ、生活はどんどん豊かになっていった。それが1950年代から70年代にかけての時期で、資本主義の黄金時代といえるでしょう。

かなりざっくりした話をしていますけど、こういう内容でいいんですか?

島地 いやいや、難しい話をざっくり、ここまでわかりやすく話していただけるとはさすが中谷教授です。資本主義の黄金時代は1950年代から70年代ということですが、ちょうど先生がアメリカに留学していた頃ですよね。

中谷 そうです。正直「なんて豊かな国なんだ!」と思いました。日本がまだ、小さく切ったごわごわの新聞紙でお尻を拭いていた時代に、アメリカでは赤ちゃんのために、当時は高価だったティッシュペーパーを躊躇なくバンバン使う。びっくりですよ。

島地 テレビでアメリカのホームドラマが放映されていた時代ですね。あの頃のアメリカは、ほんとうに光り輝いていました。

中谷 どの家にもテレビがあり、冷蔵庫は人の背丈以上もある大きさで、庭には緑の芝が生え、プールまである。それが貴族ではなく中流家庭の暮らしですから、世界中が驚いて、アメリカはすごい、資本主義は素晴らしい、となったのも無理はありません。

日野 その素晴らしい資本主義がどうしてこうなってしまったのか、これからどんなことが起こるのかは後半のお題として、このへんでシガー・ブレイクにしましょう。

島地 そうしよう。こういう真面目な話の途中にやる一服も、またうまいものです。

後編につづく〉

 

中谷巌 (なかたに・いわお)
経済学者、大学教授、著述家。1942年、大阪府生まれ。一橋大学経済学部卒業後、日産自動車勤務を経て、ハーバード大学大学院に留学。同大学院で博士号を取得し、講師を務めたのち帰国。大阪大学経済学部教授を経て、一橋大学商学部教授に就任。そのほか、複数の企業での社外取締役、多摩大学学長、三和総合研究所(現・三菱UFJリサーチ&コンサルティング)理事長などを歴任する。2010年には、一般社団法人「不識庵」を設立し、日本と世界を考えるリーダー育成のため、私塾「不識塾」を開校した。主な著書に『入門マクロ経済学』『痛快! 経済学』『資本主義はなぜ自壊したのか』『資本主義以後の世界』など。
島地勝彦 (しまじ・かつひこ)
1941年、東京都生まれ。青山学院大学卒業後、集英社に入社。『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY』『Bart』の編集長を歴任した。現在は、コラムニスト兼バーマンとして活躍中。『甘い生活』『乗り移り人生相談』『知る悲しみ やっぱり男は死ぬまでロマンティックな愚か者』(いずれも講談社)『Salon de SHIMAJI バーカウンターは人生の勉強机である』(阪急コミュニケーションズ)など著書多数。Webで「乗り移り人生相談」「Treatment & Grooming At Shimaji Salon」「Nespresso Break Time @Cafe de Shimaji」を連載中。最新刊『お洒落極道』(小学館)が好評発売中!

著者: 島地勝彦
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