研究者は「問う」で満足してはいけない。「届ける」ようになるには?

「これからの学者」を目指す若者へ
宮野 公樹 プロフィール

学者のうみだす理論や思想などが圧倒的な存在感(強力な影響力)を帯びるものとなるには、それらが現実との衝突から生じる葛藤のなかで鍛えられたものでなければならないでしょう。

だからこそ、社会に「届けよう」とすることで、たこつぼのような専門の世界から半ば強制的に思考を抜け出させ、社会に揉まれる場面を少しでも増やしたらいいのではないかと考えるのです。

学問、あるいは真理はやはり日常(生活世界)にあってこそ、という僕なりの再認識から生まれた、僕なりの「これからの学者像」なのです。

いろいろ書きましたが、これが今の僕の精一杯です。

ご笑覧ください。

(みやの・なおき 京都大学学際融合教育研究推進センター准教授)
読書人の雑誌「本」2015年5月号より

* * *

宮野公樹(みやの・なおき)
博士(工学)。京都大学学際融合教育研究推進センター准教授・総長学事補佐。2010年より文部科学省研究振興局基盤研究課ナノテクノロジー・材料開発推進室学術調査官を兼任。専門領域は、金属組織学、教育工学、政策科学。南部陽一郎研究奨励賞、日本金属学会論文賞ほか多数受賞
宮野公樹

宮野公樹・著
『研究を深める5つの問い 「科学」の転換期における研究者思考』
講談社ブルーバックス 税別価格:800円

科学や技術に対する社会の信頼が揺らいでいます。このような時代において、これまでと同じように「論文を書いていればいい」「自分の専門領域を対象とした研究をがんばればいい」というだけでは、優れた研究成果をあげることが難しくなっています。では、研究者はどのように考え、行動すべきでしょうか。その根源となる「研究者思考」を、研究者自身で探究できるようにするのが本書です。

スライドやポスターの添削など、これまで1000件を超すプレゼン指導経験から著者が見いだした「研究の本質」について、未来ある若手研究者に向けてわかりやすい言葉で問いかけながら案内していきます。

 => Amazonはこちら
 => 楽天ブックスはこちら