野村克也「野球は頭の使い方で決まる」自分を育ててくれたプロ野球界に、これだけは言っておきたい(上)

スペシャル・インタビュー
週刊現代 プロフィール

「ウィリアムズは投手が振りかぶったとき、直球か、変化球かが、8割わかる」

ウィリアムズは戦前から戦後にかけて米国で活躍し、「打撃の神様」の異名を持つ、最後の4割打者。米国内ではベーブ・ルースよりも評価は高かった。投手は直球、変化球を投げる時、ボールの握りが違うため、投球時の構えにも微妙な変化が生じるのだという。

翌日、さっそく南海の投手をブルペンで見た時も、直球を投げる場合と、変化球の場合の構えの違いが如実に表れていました。ボールを握るときのしぐさが微妙に変わり、振りかぶった時のグラブの角度も変わる。まさに私にとっては目からウロコ、宝物を見つけたような喜びがありました。

以降、相手投手のクセを研究するため、裏方さんに頼んで、16mmフィルムをネット裏で回してもらった。

メジャーは身体能力だけでプレーしていると思われがちですが、野球を深く考えるソフト面でも、日本よりはるかに進んでいた。ウィリアムズの理論に出会った直後の'57年に30本塁打で初の本塁打王に輝き、プロで生きる自信がつきました。

そのプロセスで知ることができたのは、技術的な能力の限界の先に、本当のプロの世界が存在する、ということです。だからまず己の限界を知ることが先決なのです。打者は3割を打てば一流。2割8分、2割5分の打者なら、3割到達までの不足をどう埋めるのか。私は当時、誰も注目していなかった相手のクセやデータを研究することで埋めることができた。人気や、持っている素質ではかなわなかった長嶋に、記録では勝つことができました。

キャッチャーとは何か

私は打者だけでなく、キャッチャーとしても頭を使い続けてきました。

そもそもキャッチャーとは何か。私が考えるに、キャッチャーは「守りにおける監督の分身」であり、「野球というドラマの脚本家」でもある。キャッチャーには、試合中、実は監督以上の仕事が求められています。いかに有益な情報を事前に仕入れ、それをもとにサインを組み立てられるかが、勝敗を左右するからです。

ですから、14年間捕手をつとめた阿部慎之助が今年から一塁に転向してしまったことが残念でなりません。

捕手には3つの力が求められる。「観察力」「洞察力」そして「記憶力」です。入団直後の阿部は、打者の動きに対して鈍感で、「見えない」「感じない」捕手だと歯がゆさを覚えていたが、彼は捕手として4度の日本シリーズを経験して、確実に成長していきました。日本シリーズは……

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「週刊現代」2015年4月18日号より


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