「教育業界の革命児」と「ゴースト暗算の発明者」が実践する知的生産力を上げる方法

小嶋勇, 岩波邦明
日能研関東の小嶋勇会長

岩波: 素敵な考え方ですね。小嶋会長に人が集まる理由や頼られるわけがわかります。

小嶋: 例えば、受験前には、正月でも朝9時から夕方まで特訓をやります。でも、正月はお店が開いていないので、前日の31日にお弁当を買って、正月当日に「先生方、ありがとうございます」と言ってお弁当を配る。そういうことをやっていてもつらくなかったというのが、僕の仕事観の根底にある。

岩波: 仕事というのは「仕える事」と書くので、社会に仕えることが仕事ではないかと僕は思っています。社会が本当に必要としているものは何だろうということを念頭に置いて、コンテンツ開発をしています。

もともと、僕は自分の作りたいものばかり作っていて、「自分が良いと感じるものが人にもいいものに違いない」というような勘違いをしていたときに、小嶋会長にお会いさせていただき「世の中が必要とする、あるいは子ども達を相手にしたものだったら、子どもたちが喜び、必要としているものでなければ、何の価値もない」というアドバイスをいただきました。

そこから「どういったものを作れば、みんなの役に立つものになるだろうか」ということを最初に考えるようになり、ゴースト暗算が生まれました。

「ゴースト暗算」を発明した岩波邦明氏

小嶋: そうだったね。

岩波: ゴースト暗算ができた経緯としては、小嶋会長と最初にお会いさせていただいたときに、「教室を一つ貸すので、子どもたちが喜ぶ、子どもたちのために何かやってみなさい」というチャンスをいただいたことがきっかけです。

そのときに必死になって、「本当に子どもたちの役に立つものはなんだろう?」と考え、塾で教えていたとき算数嫌いな子が多かったことを思い出し「算数が楽しくなる方法にしよう。算数に不可欠な計算を楽に出来る様にできないだろうか?」と思って考えついたのが、ゴースト暗算の骨格である「『おさかな』を使った暗算法」でした。

そして実際に、教室の生徒さんの前で講座をさせていただいたり、日能研の職員の方にも「どのぐらい子どものためになったか」をチェックいただきました。コンテンツには自信があったのですが、それまでは大学受験者ばかり教えていて、小学生を教えるのは初めてでした。そこで教えるプロの先生方から伝え方をご教授いただき、ゴースト暗算の教え方マニュアルを確立しました。おかげで子供たちにより早く深く理解してもらえるようになりました。

小嶋: ゴースト暗算は、僕から見ると「『できた』という一つの成功例を与えるもの」だと思う。

今までは、「これを計算してごらん」と言われてもできなかった問題が、ゴースト暗算でできるようになると、算数や数学が好きになっていく。人間だから、一つひとつの成功体験が積み重なっていけば、算数が最終的にはすごく好きになる。
特に、女の子の場合は国語と社会が比較的良くて、算数と理科が苦手という傾向があるので、ゴースト暗算をきっかけに算数が伸びていってくれたらいいな、という期待をしている。

岩波: 以前に授業で、ある女の子がゴースト暗算の授業をするときに、最初はすごくつまらなそうにして寝ていたんです。けれども、「こういうふうにやるんだよ」と説明した後で、実際に自分でやってみて1問できたときには、「できた!」という感じの、にこやかな表情になったんです。

その子は、最後には、自分から手を挙げて答えを言ってくれるようになりました。そして、すごく楽しそうに、キラキラした目で帰ってくれました。

小嶋: 僕はその「できた!」というきっかけを作るには、ゴースト暗算はすごくいいと思います。