二宮清純レポート 走れ!ヨシヒロ3番・丸佳浩 広島は変わった、僕も変わった(下)

週刊現代 プロフィール

この2人は打順でも連係する。通常なら菊池が2番、丸が3番だ。前後の1番と4番が不確定なだけに、足もあって率も稼げる〝キクマル〟は、なおさら存在感を増す。

相棒を評して、菊池は言う。

「丸は僕にないものを持っている。彼も同じことを言います。というのも、僕はボール球でも打てると思ったら打ちに行きますが、丸は絶対にボール球には手を出さない。だから、あれだけの四球が取れるんだと思うんです。

仮に僕が凡打しても、丸なら出塁してチャンスメイクしてくれるだろうという信頼感がある。だからキクとマルは絶対につながっていないとダメです。ネクストバッターズサークルで相手ピッチャーの情報について会話を交わすこともあります。それが役に立つのは言うまでもありません」

優勝を知らない子供たち

球団創設26年目にして初優勝を遂げた'75年のチームと、24年ぶりのリーグ優勝を目指す今年のチームには、ひとつ共通点がある。

生え抜きに優勝を経験した選手がいないのだ。ヤンキースから復帰した黒田博樹も、阪神からの出戻りとなる新井貴浩もリーグ優勝は一度も経験していない。

蛇足だが12球団で最も優勝から遠ざかっている球団が広島である。

先日、たまたま入ったカラオケ店の隣の部屋でカープファンとおぼしき青年たちが声を張り上げていた。

 ♪優勝が終わって 僕らは生まれた
 優勝を知らずに 僕らは育った
 優勝を知らない 子供たちさ

何のことはない。ジローズが'70年に発表し、大ヒットした「戦争を知らない子供たち」(北山修作詞、杉田二郎作曲)の替え歌だった。

チーム全体の経験不足を補うには勢いしかない。その急先鋒が25歳の丸と菊池である。

彼らもまた、「優勝を知らない子供たち」なのだ。

そして今、機は熟しつつある。所信表明でもするように、丸は言った。

「(昨年、一昨年と)クライマックスシリーズに出場することで、ひとつの壁は乗り越えた。次の壁は全員で乗り越えなければいけない」

チーム一丸。25歳はその先頭に立つ覚悟でいる。

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「週刊現代」2015年4月11日号より


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