二宮清純レポート 走れ!ヨシヒロ3番・丸佳浩 広島は変わった、僕も変わった(下)

週刊現代 プロフィール

「最初に〝グリップを下げろ〟と言われた時には、わかりづらいというか、どう打っていいのかわからなかった。強く打とうとすれば、どうしてもグリップの位置は高くなる。しかし、それは新井さんに言わせれば〝確率のいい打ち方じゃない〟と。それでYouTubeで新井さんの現役時代のフォームを見て参考にしました」

グリップの位置の変更はスイングの軌道にも変化をもたらした。

「ダウンスイングよりもレベル(水平)で振ったほうがヒットの出る確率は高くなる。課題をあげるとすれば、もうちょっとホームラン数が増えればいいかなと……」

ホームラン数の自己最多は昨季の19本。巧打者から強打者へと、さらなる進化を遂げるには、20本台、いや30本台を視野に入れる必要がある。

ここはセカンドオピニオンに耳を傾けたい。評論家・田尾安志の助言。

「あえて課題をあげるとすれば、ややトップの位置が浅いこと。つまりキャッチャー側への体重移動が不十分。今のままだと体の力を十分にボールに伝えられない。もう少しひねりを入れれば、より打球は速くなり、飛距離も出ると思いますね」

確実性に飛距離が加われば、もはや鬼に金棒である。

初タイトルは'13年の盗塁王。出塁すると、貪欲に先の塁を狙う。

守備も巧い。'13、'14年と2年連続でゴールデングラブ賞に選ばれた。

外野手として2年連続300刺殺以上('00、'01年)という〝NPBタイ記録〟を持つ元福岡ソフトバンク柴原洋の目にセンター丸の守備は、どう映っているのか。

「外野手で一番大事なのは一歩目の動き。丸は、どんな打球に対しても、落下地点に直線に入る。普通は前後や左右に、ちょっと無駄な動きをするものなんです。ところが、丸には無駄な動きが一切ない。判断力と観察力に優れているんでしょうね。

たとえばソフトバンクの柳田悠岐と比べた時、足と肩なら柳田のほうが上でしょう。しかし柳田には、まだ無駄な動きがあるし、スローイングにもブレがある。丸は送球も正確で球筋もいい。現在、レギュラーを獲っているセンターでは彼(の守備)がナンバーワンでしょうね」

カープの守りのアドバンテージは〝二遊間〟ならぬ〝二中間〟である。2年続けてセカンドの補殺記録を塗り替えた菊池涼介と丸とのスペースが驚くほど狭いのである。

少々、大げさに言えば〝猫の額〟ほどの狭さである。丸が「キクはヒットと思った打球まで捕ってくれるから助かる」と言えば、菊池は「丸がいるから安心して突っ込める。阿吽の呼吸ですね」と応じる。