[ボクシング]
近藤隆夫「デビュー5戦目での世界奪取を目指す“中京の怪物”田中恒成」

スポーツコミュニケーションズ

最短記録の先に問われる真価

 さて、田中のチャレンジだが、勝利する可能性は高い。対戦相手のイエドラスは戦績こそ24勝(13KO)1敗とキャリア豊富だが、すべてメキシコ国内での闘い。唯一の黒星は世界タイトルマッチで喫したものだが、24勝の相手の中に特筆すべき強者はいない。上半身に柔軟性を宿しており、巧さはあるが、それほどの強打者ではなく、ボクシングセンスにおいても田中が上回っているように思う。

 輝きのあるボクサーになるためには話題性も必要。だから、「世界王座奪取最短記録」もせっかくのチャンスだからモノにすべきだ。でも実は、これはそれほど意義のある記録でもない。要領よく世界戦にこぎつければよいというものではないからだ。

 むしろ、田中には記録達成以上にファイト内容が求められる。まずはイエドラスに完勝してもらいたい。その先には高山勝成との王座統一戦が待っていることだろう。ここで彼の真価が問われることになる。

“中京の怪物”田中のファイティングロードを熱く見守りたい。

近藤隆夫(こんどう・たかお)プロフィール>
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌をはじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自 転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイシー一族の真実~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー~小林繁物語~』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』 『ジャッキー・ロビンソン ~人種差別をのりこえたメジャーリーガー~』『キミも速く走れる!―ヒミツの特訓』(いずれも汐文社)ほか多数。最新刊は『忘れ難きボクシング名勝負100 昭和編』(日刊スポーツグラフ)。
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