大阪市民の「知る権利」 ~市長は「協定書」を正しく説明せよ~
文/京都大学大学院教授 藤井聡
まず、「大阪都という『名称』にはならない」という「事実1」に対して、佐々木氏は「制度は都になるのだから藤井は間違っている」と、話題をすり替えた上で「間違いだ」と断じています。これではもちろん「事実1」を論駁したことになりません(注1)。
事実2については、佐々木氏は、「都構想」というのは、「狭い意味の行政改革の構想ではない」と批判されますが、筆者が指摘しているのは、一般的な「都構想」でなく、『今の』都構想という断りをわざわざ入れたものです。すなわち、「今の協定書に書かれた都構想」なのです。したがってこれもまたすり替えによる批判となっています。
住民投票の対象となる「協定書」等の公式資料に明記されている事実に基づく「事実3」「事実4」に対しては、佐々木氏は協定書等の内容を無視し、あくまでも「一般論」に基づいて、事実ではない、と主張します。しかし、協定書等を無視することが正当化されるはずがありません。したがって、これでは「事実3」「事実4」を論駁したことにはなりません。
「事実5」それ自身は事実ですので、否定しようがありません(なお、注2も参照ください)。
「事実6」については「東京を一つの市だと考えるなど暴論だ」と批判し、「事実7」については、「一極集中のメカニズムがわからなければ、この事実7には意味がない」という趣旨の指摘をされます。しかしこれらの批判は、それぞれの事実の事実性を論駁したことにはなりません。
なお、当方の上記の簡潔な主張を信ずるのならば、それらを必ずしもお目通しいただく必要はありませんが、筆者を「疑う」方がおられましたら、そしてとりわけその上で「藤井はデマを主張している」と発言しようとする方がおられましたら、筆者が先に紹介したHP(前ページ後半参照)で論じた内容にしっかりとお目通しくことを、強く要請いたしたいと思います。