2015年3月に米国テキサス州オースティンで開催されたSXSW 2015について、ニューヨーク在住のフリーライター公文紫都が振り返ります。前編ではイベントの概要や街中の様子、SXSWが日本人に受ける理由についてお話しました。後編は、SXSWのビジネスの可能性と参加の意義について考えていきたいと思います。
前編で、日本人の参加率の多さについて触れました。参加者のみならず、出展者数の多さでも際立っていた日本勢。各社が出品するユニークな製品により、"ものづくりに強い国日本"、ならびに確かな技術力をアピールできていたと思います。
ハードウェアメーカーCerevoを中心に出展した、「DMM.make AKIBA」ブースや、東京大学関連のスタートアップがSXSWトレードショーに出展することで、グローバルな視野を広げることを目指す「TODAI TO TEXAS」など、数社(数製品)がまとまって出展している様子も印象的でした。日本勢の活躍や展示製品、ブースの配置などは、「SXSW×未来予報研究会」というサイトによくまとまっているので、よろしければ参考にしてみてください。
また今回は、日本企業初の快挙がありました。博報堂グループのクリエイティブエージェンシーである株式会社SIX(所在地:東京都港区)が開発した、音楽と同期して歌詞が表示される次世代型スピーカー 『Lyric Speaker』が、第7回SXSWアクセラレーター・コンペティションのエンターテインメント・コンテントテクノロジー部門ファイナリストに、日本企業として初選出。3月15日の授賞式では、見事「Best Bootstrap Company」賞を受賞しました。
同賞は、カテゴリーにかかわらず、コンペティション全体の中で、「目立った出資を受けていないが最も創造性と可能性に溢れ、今後飛躍を遂げるであろうチームに与えられる」賞です。
今年のSXSWアクセラレーター・コンペティションには、世界500社以上からの応募があったとのこと。 SIXのクリエイティブディレクター・斉藤迅氏は受賞スピーチ内で、ボブ・ディラン氏の代表曲である『The Times They Are a-Changin'』になぞらえ、「時代は変わる。これは、日本のクリエイティブの成果です」と英語でコメントしました。商品のユニークさも相まって、投資家や各企業からの注目は一気に上がったことでしょう。