[障がい者スポーツ]
伊藤数子「変化する、パラスポーツ競技団体を取り巻く環境」

スポーツコミュニケーションズ

 時代は変わり、改革は必然

 近年、障がい者の自立が進み、障がいがあっても様々なことに取り組む人が急増しました。趣味を楽しむ人が増えると、それをサポートするボランティアも増えてきました。旅行のガイド、買い物のサポート。そんな中に趣味としてスポーツをする人のサポートをするボランティアの人達がいました。数十年の時を経て、このスポーツを楽しむ人たちの中に、競技として取り組む選手が出てきました。やがて競技がエリートスポーツ化し、選手は国際大会やパラリンピックへと出ていき、超エリートスポーツの分野ができてきました。

 またスポーツ基本法やパラリンピック開催決定などの影響もあり、自治体や企業などから障がい者スポーツのイベント開催や講師派遣の依頼も増えてきました。これまでの、「スポーツを楽しむ人達を手伝いたい」というボランティア活動の領域をはるかに超えてしまったのです。趣味の人たちをサポートする団体は、スポーツの普及、育成。強化と多くの機能を求め合っていきました。それまでの運営体制では回りきらないのは自明の理です。

 競技団体は変革のときを迎えました。その動きは、先述のサッカーのような例にとどまりません。JPCは日本財団の協力を得て、加盟競技団体の事務局の場所の提供、財務管理や法人化などサポートする組織を立ち上げる方針を固めています。財務や法務の専門家を派遣し、競技団体自体の“強化・育成”を計る狙いがあり、その組織力向上が見込まれます。私見を述べれば、JPCや日本財団に限らず企業が障がい者スポーツ競技団体のマネジメントをサポートするかたちがあってもいいと考えています。

 障がい者のスポーツはリハビリから、遊びのスポーツ、そして競技スポーツ、エリートスポーツの分野にも広がり、発展してきました。また「する」人たちだけだったスポーツに「見る」「支える」というひとたちが加わった。こうした変化によって増えてきた競技団体の業務や重責に対して、競技団体が脆弱だからうまくいかないと片付けるのは短絡的でしょう。そして、これまで通り任せるのも賢明ではありません。様々な機関や人が手をとり合い、競技団体の改革に協力し、パラスポーツを盛り上げるという感覚で参加することが肝要ではないでしょうか。

伊藤数子(いとう・かずこ)
新潟県出身。障害者スポーツをスポーツとして捉えるサイト「挑戦者たち」編集長。NPO法人STAND代表理事。1991年に車いす陸上を観戦したことが きっかけとなり、障害者スポーツに携わるようになる。現在は国や地域、年齢、性別、障害、職業の区別なく、誰もが皆明るく豊かに暮らす社会を実現するため の「ユニバーサルコミュニケーション活動」を行なっている。その一環として障害者スポーツ事業を展開。コミュニティサイト「アスリート・ビレッジ」やインターネットライブ中継「モバチュウ」を運営している。2010年3月より障害者スポーツサイト「挑戦者たち」を開設。障害者スポーツのスポーツとしての魅力を伝えることを目指している。著書には『ようこそ! 障害者スポーツへ~パラリンピックを目指すアスリートたち~』(廣済堂出版)がある。