左遷! さらば、NHK『ニュースウオッチ9』大越キャスター エースはなぜ飛ばされたのか(その2)

もう一人、政治部のなかで大越氏と微妙な関係にあるエース記者がいる。それが前出の岩田氏だ。岩田氏は、安倍氏が官房副長官だった頃からの番記者で、官邸との距離が近いことで有名だ。

「首相の自宅にも出入りできる数少ない記者。小泉政権時代に安倍氏が若くして官房長官に抜擢されたので、それに乗じて政権中枢に喰い込んだ運のいい人です。東大出のすらっとした美人で、仕事ぶりは優秀だが、安倍政権の御意見番と言ってもいいほど官邸びいき。

あくまで報道は中立であるべきと考える大越さんは、以前から岩田さんの取材姿勢を疑問視していました。逆に岩田さんは、大越キャスターのコメントのしかたに不満がたまっているようです」(前出の元政治部記者)

このように、個人的な思惑も絡まり、大越氏を疎んじる空気がNHK報道局の一部で共有されていた。彼らにとって「官邸の意向」は人事抗争の側面を覆い隠す錦の御旗になる。そして、官邸は自ら動かずとも「大越外し」という目的を達することができる。こうしてエースが、我々視聴者の前から姿を消すことになったのだろう。前出の関連会社幹部が語る。

「国民の受信料で賄われているNHKという組織は、体面を非常に気にします。今回のキャスター交代に関しても、官邸からの横槍人事ではないかという噂を打ち消すため、大越さんを小池さんと一緒に編集主幹に昇進させてしまおうという意見もあるそうです。しかし、そのようなアクロバティックな人事はハードルが高い。おそらく大越さんは、体裁のいいポストをあてがわれる形で『左遷』されるのではないか」

大越氏の後任キャスターは、河野憲治国際部長に内定している。NHKきっての英語遣いで、記者としての評判は高い。

「国際部畑を歩いてきただけに政治色が薄く、官邸からしてみると扱いやすい人材でしょう」(前出・社会部記者)

本誌は、今回の人事は通常のものとは異なる、官邸の意向を反映した事実上の左遷ではないのかとNHKに問い合わせたが、同広報部からは「番組のキャスターについては、内部の所定の手続きにより、独自の判定で選考しています。ご質問のような事実は一切ありません」との回答だった。

モノ言うキャスターが去り、NHKの「政権の広報機関化」はますます進むのだろうか。大越キャスターの最終登板は3月27日。エースが最後に何を語るのか、注目したい。

「週刊現代」2015年4月4日号より


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