東大卒・元官僚×東大院卒・元日経記者&AV女優社会学者「『肩書き』にこだわる男・『生き様』にこだわる女」対談<後編>

「私はジジイと寝るほうを選んで生きていきたい」
文:中央公論新社特別編集部 吉岡宏

 AV女優もキャバ嬢も、とびぬけて人気が合ったわけでもない

宇佐美 男対男になると、やっぱり理解し合う方法は「戦い」なんだよね。殴り合って理解。本気で向かってくる奴だからこそ、かわいいとおもっちゃう。いずれ倒すけど甘んじて下に、なんてシチュエーションは男の大好物。そうした闘争を経て「こいつに次代を譲るか」っていう気持ちにようやくなれるのがジジイなんだと思う。

鈴木 そういうことって肩書き捨てた後のほうが意識しました?

宇佐美 そうだね、肩書きがあった頃は自然と仕事が入ってきたし。一人になったら意識してジジイに食い込んでいかないと生きてはいけないし。

鈴木 肩書きを捨てた後の生活は楽しめています?

宇佐美 ようやく楽しめるようになりましたかね。メディア的に肩書きを使ったキャラクターを作るよう意識してからは。やっぱり私は男なんで「こいつはいつか世の中をくつがえすかもしれない」、というイメージが伝わるように意識していますが。鈴木さんはどういったイメージを?

鈴木 私は定まらない感じですね。

戦略的、というより実際に好きなものがしょっちゅう変わるんです。一貫性を求められても困るんですよね。あいつはこういう思想だ、と思われるのは嫌で。結婚一つ取っても「したくない」と思ったり「いいな」と思う夜もあるわけですよ。

ただ、それも変わったことではなくて、女なら極めて普通の考えだと思うんです。実際、服が多少ハデだったかもしれないけれど、普通に大学院生やってたし、記者もやっていた。AV女優もキャバ嬢も、とびぬけて人気が合ったわけでもないし。極めて普通の人なんですよ。ただ、ジャンルを横断しているだけであって。

私自身としてはそのほうが楽なんです。何かを見つけて1位、というよりベタな存在にならない、肩書きでオンリーワンのほうが。期待を裏切る肩書きを付けたらこうなっただけであって。

慶応に在籍していたとき、ほかにキャバ嬢やAV女優はいたと思う。でも東大の大学院にはいないだろうと思って進学したわけで。それでもまだ物足りなかったから、日経記者という肩書きも足してみたんですね。

宇佐美 柔軟だな〜。男性的な視点だと、やっぱり最終的には実力主義にこだわっちゃうところはあって。最終的にこの世界でナンバーワンになれるかどうか、という視点に戻ってきちゃうんだよね。

鈴木 私の場合、服であったり宝飾品、たとえばシャネルとかヴィトンとか、そういうブランドの延長で肩書きがあるのかもしれない。もちろん肩書きはお金では買えないけれども、計画的に努力すれば手に入れられる。

欲しい肩書きがあれば、それを手に入れてきたのがこれまでの人生ですね。