東大卒・元官僚×東大院卒・元日経記者&AV女優社会学者「『肩書き』にこだわる男・『生き様』にこだわる女」対談<後編>

「私はジジイと寝るほうを選んで生きていきたい」
文:中央公論新社特別編集部 吉岡宏

 「ジジゴロシ」という、とても役に立つ技術

宇佐美 昼の世界だけだと、実力至上主義というか、努力していればいつか、という幻想を植え付けられてしまう。でもその幻想だけに頼って生きるのは、実は良くないことで。報われなかったときにすがるものが無くなるから、立ち直りようがなくなってしまう。

独立してよく分かったけど、人生は自分の力だけでは簡単に切り開けないものなんだよね。必要に応じて「金持ちのパトロンにすがる」、なんてことも素晴らしく有効で。コネもめちゃくちゃ強い武器だし。なかなか大組織にいるとその事実を認められないけど。

鈴木 昔の若手政治家なんて、分かりやすくそのパターンですよね。「ジジゴロシ」というのは、とても役に立つ技術で。でも男はプライドもあるし、割り切ってそういう手段をなかなか選ばないのが、私から見ると面白くもあるのだけれども。

宇佐美 ジジゴロシは、人生を生き延びるためにはかなり有効だよね。辞めた後によく分かった。男だと、ジジゴロシをするには成長性や、何があってもくじけない姿勢を見せつけるとか、そんな方法が頭に浮かぶけど、女はどうやって彼らの懐に入り込むの?

鈴木 「ヤダ、部長」とか「本当にステキ!」と言うだけでコロッといっちゃう人もいれば、自分の道を持つ女が好きという人もいますよね。「この人、堅いな」と思ったら「男に食わせてもらうことに興味は無くて。ただ外国を放浪したくて働いているんです」などと相手に合わせて言って、なびかせちゃう。

すずき・すずみ 1983年、東京都生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。専攻は社会学。日本経済新聞社に入社後、記者職など。2014年秋退社。現在は文筆を中心に活動。著書に『「AV女優」の社会学』(青土社)、『身体を売ったらサヨウナラ』(幻冬舎)

もちろんキャバクラはそうでしたけど、実は大学院も記者もそうでした。しかも女はそれを罪悪感無く出来るんですよね。

本人としては、決してウソをついているわけではないんです。あくまで「この場面ではどの顔を出すか」ということであって。とにかく、いざとなればそういう手段に出れるんだ、ということをベースにおいておくと、いろんな事が回りやすくなるんです。

宇佐美 凄いなあ(笑)。

でもお金出すのも、決断するのも、応援してくれるのも、現実として相手は社会的な地位のある「ジジイ」ではあるし。言い方は難しいけれど、やっぱり彼らを取り込む技術がないと生き抜いていけないはずなんだよね。

鈴木 私は、オヤジたちが作った日本社会で生きていることを理解しています。特に私の場合、パンツ売って稼いでいた経験もあるから、男に養われて社会を生きている感覚は強いかもしれないけど。

やや脱線するけど、フェミニストがいま一つうまくいっていないのは、ジジイの懐に入り込めていないせいだと思うんですよね。カミツク振りをするのはありだけど、彼らの懐に入るつもりが最初から無いから、理解を得られない。

多くのジジイは週刊誌的価値観に犯されていて、確かにアホっぽいけど、かわいいところもあるんですよ。そこを見つけてあげようとするかしないか気の持ちよう一つなわけで。フェミニストも、もっとオヤジのかわいいところを見てあげるべきなんです。

はっきり言いますけど、私はジジイと寝るほうを選んで生きていきたい(笑)。