[プロ野球]
中日・又吉克樹「9勝よりも1敗の悔しさを糧に」

アイランドリーグ出身選手たちは今 2015年Vol.1
スポーツコミュニケーションズ

フォームをマイナーチェンジ

 もうひとつ、本人が印象に残っているのは9月21日、甲子園での阪神戦。同点の7回、1死一、二塁の場面でリリーフした又吉は最初の新井貴浩から三振でアウトを奪ったものの、続く西岡剛には四球を与える。一見すれば、満塁の大ピンチ。しかし、ここには冷静な計算があった。

「次は(代打の)関本(賢太郎)さんが出てきて右(バッター)になる。敢えて勝負する必要はないと思っていました」
 落ち着いて関本をフルカウントから緩いスライダーで空振り三振。虎党で埋まったスタンドに大きな溜息をつかせた。

 登板を重ねるごとに安定感を増し、チームを勝利に導く快投を可能にした要因はどこにあるのか。先述したように「僕は何も持っていないですよ」と笑う又吉だが、確実に持っているものがある。それは人一倍のハングリー精神だ。

 1軍で結果が出ても試行錯誤を重ね、長いシーズンの間にフォームをマイナーチェンジしてきた。たとえば、8月中頃からはセットに入る前にスッと腕を上げて回す動作を取り入れた。

「思いつきで始めたんですけど、腕の位置を戻して次の1球を投げようというイメージでやっています。このルーティンにしてうまくいくようになったので続けることにしました」

 投げ切った後も、当初は「しっかり体を回転させて腕を振ろう」と意識していたため、一塁側に跳ねていた。だが、「一瞬で力を爆発させる」ことを考え、三塁側前方へポン、ポンと躍動するようにした。

「これができている時は、しっかり我慢して、ボールを弾けている状態ですね。自然とそうなるので体にも負担がかからない投げ方だと思っています。実際、前半は体の左側が張ったりすることもありましたが、それが一切なくなりましたから」