[プロ野球]
中日・又吉克樹「9勝よりも1敗の悔しさを糧に」

アイランドリーグ出身選手たちは今 2015年Vol.1
スポーツコミュニケーションズ

シンプルに「強いボールを投げる」

 サイドから繰り出す速球、スライダーを武器に中継ぎで開幕1軍を勝ちとり、4月17日の横浜DeNA戦では味方の逆転サヨナラ勝ちで早くもウイニングボールを手にした。ただ、4月、5月は制球に苦しむ登板もあり、2度の2軍落ちを経験する。

「そこで、もう一度、又吉を上げようと首脳陣の方が思っていただいたことに感謝したいです。そして、這い上がってチャンスをモノにできたことは大きかったと考えています」

 2度目のファーム行きで、右腕は自分の武器をもう一度見つめ直した。「少々、荒れ球でも大胆に行くのが持ち味」。結果を恐れず、腕をしっかり振って投げることに集中した。腕が振れれば、いいボールは自ずといく。いいボールがいけば、結果は自ずとついてくる。結果が出れば、それが自信となり、一層、腕が振れる。

「それまでは変化球の曲がりとかコントロールとか、いろいろ考えすぎていました。シンプルに強いボールを投げる。それだけに集中しました」
 再々昇格を果たした6月以降、徐々に又吉のサイドスローは凄みを増していった。

 7月から8月にかけては17試合連続無失点。9月には11試合連続で相手に得点を与えなかった。課題とされてきた左バッターに対しても、インコースをズバッと突き、空振りや凡打に仕留めるシーンが増えた。奪三振率はリーグトップ(投球回50イニング以上)の11.51(104個)。浅尾拓也の不調、抑えの岩瀬仁紀の故障でチームの台所事情が苦しい中、同学年の福谷浩司とともにブルペンを支えた。

「特に9月はやりたいことと実際にやっていることとが近づいてきて、腕を振り切れていたと思います」

 9月11日のマツダスタジアムでの広島戦では、1点リードの7回1死満塁という窮地で登場し、連続三振。見事な火消しをみせた。最初の代打・松山竜平に対しては「勢いで行こう」と追い込んで即勝負で3球三振に仕留めた。

 続く梵英心にはボールが先行してカウントは不利だったが、ファウルを打たせて、フルカウントに持ち込む。「2ストライク3ボールまで自分が持ってきた感覚だったので大丈夫」と動じることなく、アウトコースの直球でバットに空を切らせた。

 その瞬間、フィギュアスケーターなみにジャンプしてクルリと一回転しながらのガッツポーズ。派手なアクションが話題になった。
「自然と出てしまいましたね。7月の(1敗の)反省を生かせたことがうれしかったんです」
 敗戦を糧に成長したルーキーの姿がそこにはあった。