東大卒・元官僚×東大院卒・元日経記者&AV女優社会学者「『肩書き』にこだわる男・『生き様』にこだわる女」<前編> 

「日経に就職したのは肩書きをキレイにするため」
文:中央公論新社 特別編集部 吉岡宏
うさみ・のりや 1981年、東京都生まれ。東京大学経済学部を経て経済産業省。在職中に「三十路の 官僚ブログ」で自身の給料や官僚生活を公開して話題に。著書に『30歳キャリア官僚が最後にどうしても伝え たいこと』(ダイヤモンド社)、『肩書き捨てたら地獄だった 挫折した元官僚が教える「頼れない」時代の働き方』(中央公論新社)

宇佐美 意識して肩書きを手に入れてきた、ということ? 

自分の場合はむしろ逆で。元々、好きな子が東大志望だったから東大を目指して、東大入った後は周りの友達に流され、官僚を目指して。楽しそうだから経済産業省に入ることにしたら、結果的に肩書きが手に入った感じです。

どれもなりゆき。意識的に手に入れたわけではないですね。

経産省を辞めて転落し、そこから這い上がる実体験なり、主張なりをネットで発信して。

それが世間のニーズに上手くはまってから、肩書きの組み立て方をかなり意識するようになったけれど。

鈴木 官僚という肩書きからは「スマート」「エリート」ってイメージがありますよね。

だからこそ、そこから墜ちていくというか、イメージどおりじゃない、人間味のある姿は見られるものなら、見たい。それがあって、はまったんでしょうね。

「東大」と「AV」というリアルと二次元の統合に衝撃

宇佐美 官僚って何となくスマートで冷徹だったりエリートで傲慢だったりと思われがちだけど、実際の生活はかなり惨めであって。

官僚やってたときにどんな生活をしてたかというと、毎日深夜までとにかく仕事。タクシーで2時に家に帰って、たまにAV見てオナニーして寝るだけ。目の前の仕事や課題をこなすのに必死で、幸せとは、国家とは、なんて落ち着いて考える暇もない。肩書きと実際のギャップって本当に大きい。

ちょっと話が逸れますが、自分はわりと名門男子高校の出身でして。男子校である以上、リアルな女子とふれあう機会がないから、アイドルなり、AVなり、画面の中の「女」を求めてハマる、典型的なモテない男として歩んできたんです。

その後東大行って、官僚になって。少しは女っ気のある環境になったんですが、それでも自分の中の女性像っていうのはリアルじゃなく、二次元の延長にあった気がするんです。

それだけに、鈴木さんのように「東大」と「AV」という、リアルと二次元が統合した女の子がいるなんて、本当に衝撃だった(笑)。

鈴木 私は、昔からそういう存在になりたくって。

男の人って外の世界でお酒注いでくれる人と、家でご飯作ってくれて待っている人とは、別の存在にしたがりますよね。でも、私はその二つを統合した存在でいたかった。

実際、大学生の時にはキャバクラ勤めをしながら外でお酒注いで、AVにも出てたけど、でも家では彼氏のためにちゃんとご飯を作ってましたし。社会に出たら出たで、それこそ彼氏が勤めるような会社に勤めちゃう。

そういうのを体現したくって、気が付いたらこうなってました。

宇佐美 言うのは簡単だけど、実際に体現するのはかなり大変だよね。そのモチベーションって何?

鈴木 半分はイタズラ心ですかね(笑)。日経でも働きながら、同時に夜の活動もしていたし。常に人を食った存在でいたかったんですよ。「みんなをだましている」感は楽しいし(笑)。

あともう半分は、自分がどこでも一位ではない存在だった、という認識も関係していると思う。勉強はそこそこ出来たけど、もっと出来た人はいた。そこそこかわいかったかもしれないけど、もっとかわいい娘はいた。

合わせ技じゃないと、自分を目立たせられなかったんです。実はこの考え方ってとても女っぽいと思うのだけど。