上坂 佐々木さんにお会いできるのをとても楽しみにしていました。でも、この連載に取り上げられているのがメディアの方ばかりで。Viibarは一般的な意味での「メディア」ではないけれど大丈夫かな、とドキドキしていました。
佐々木 大丈夫です(笑)。僕の考えるメディアにはコミュニティもECもコンテンツも含まれていて、要は「ターゲットが求めるものを、さまざまな仕組みとチャネルで提供する」ことだと思っています。「メディア=コンテンツを提供するもの」という定義が古いのかな、と。
上坂 それならよかったです。そういう意味では、まさしくViibarもこれから広義でのメディアを作っていこうと考えているところなので。
佐々木 Viibarは「動画制作のクラウドソーシングサービス」ということですが、いま、どういうサービスを提供しているのですか?
上坂 Viibarは、動画をつくりたいクライアントとプロのクリエイターとが自由に出会い、オンラインで協力して動画をつくり上げることのできる、動画制作プラットフォームです。WEB広告など動画を制作したいと思ったクライアントが、Viibarに登録しているプロのクリエイターたちに一斉に募集をかけ、仕事を発注できます。マッチングで終わりではなく、オンラインでの動画制作を支援するシステムを提供しているので、発注から納品までがクラウド上で可能になります。これによって、今まで実現できなかった高品質な動画をお手頃な価格で提供するということを実現しています。
佐々木 詳しく聞いていきたいのですが、まず、疑問に思ったのは、クラウドソーシングで映像制作するときのクオリティの担保はどのようにしているのか、ということ。企業のマーケターは必ずしも動画制作の経験が豊かなわけではないし、文章やグラフィックの制作物よりずっとディレクションが難しいでしょう。たとえば、ディレクターをViibar社内に置いたりしているのでしょうか?
上坂 いえ、そうすると労働集約型になってスケールできないため、極力ディレクションには関わらないようにしているんです。もちろん、ただクライアントとクリエイターをマッチングするだけでは進行がうまくいかない場合もあります。「動画制作の知識がないのでサポートしてほしい」という要望も実際にありました。
佐々木 むしろ、そういう企業が多数派でしょう。
上坂 だからこそ、クリエイターとクライアントがウェブ上で一緒になって動画を作れるコラボレーションツールを開発したんです。
佐々木 一緒に動画を作るコラボレーションツールとは、具体的にどういうものですか?
上坂 チャットやファイル共有、スケジュール管理、プレビュー機能に加え、その場で修正指示やコメントなどを書き込めるシステムを自社で開発しました。ウェブ上でいつでも、クリエイターとクライアントが簡単にコミュニケーションが取れるようになっているんです。
佐々木 なるほど。 これはすべてオンラインで、ということですか?
上坂 はい、すべてクラウドで提供しています。ですから、お互い余計なストレージを食わずに済むし、地方のクライアントもクリエイターも直接会わなくても制作が可能なので気軽に参加できるというわけです。あと、クライアントのリアクションが直接感じられるのが嬉しい、というクリエイターの声が多いですね。今までは代理店経由でしかコミュニケーションが取れませんでしたから。
佐々木 なるほど。クリエイターのやりがいにもつながっているわけですね。