宮嶋茂樹 第4回
「南極があんなに辛いところだと知っていたら絶対に行かなかったです」

島地 勝彦 プロフィール

シマジ 南極はどこの国の領土でもないんでしょう?

宮嶋 そうなんですが、それについてはおもしろい実話があるんです。アルゼンチンがやった南極ベイビーズ大作戦です。

健康な若い男女を募集して冬の基地に閉じ込めて、24時間真っ暗ですから、のべつ幕なしにセックスさせた結果、20人くらい南極仕込みの赤ん坊が生まれたんです。アルゼンチン政府はすぐに出生証明書を発行して南極の領土権を主張したんですが、これは結局認められなかった。その南極ベイビーズはいま30歳くらいでアルゼンチンにいるらしいですよ。

立木 おもしろい話だね。そういえば昔、どこかのバーで南極の氷で作った水割りを飲んだことがあったねえ。

シマジ 一時流行りましたね。わたしも飲んだことがあります。美味かったような記憶がありますね。

宮嶋 南極の氷には空気がいっぱい入っているので、透明度はないけどパチパチ音を立てるのでロマンティックなんですよ。もともと雪ですからね。

わたしが行ったときも「アイスオペレーション」というのがありました。ヘリを飛ばして形のいい氷山を探しに行くんです。屈強な若者のタスクとして、チェーンソーを持たされて氷を採掘に行くんです。その氷はこっそり「しらせ」の冷凍庫に運ばれて詰められていました。

シマジ きっとそれが官僚へのお土産なんじゃないのかな。

宮嶋 そうみたいです。帰国の途中で宴会をするときもその氷を使うんですが、晴海埠頭に到着すると冷凍トレーナーが待っていて、ごっそりどこかへ運ばれて行きました。

立木 そのおこぼれをおれたちが飲んだんだな。ところで宮嶋、また南極に行きたいと思っているか?

宮嶋 もう一度行きたいなんて言う人が信じられません。わたしは絶対に行きたくありません。

ヒノ でも最初は自分から行きたいとおっしゃったんでしょう?

宮嶋 南極についてなんにも知らなかった自分がバカでした。あんなに辛いところだと知っていたら絶対に行かなかったですよ。

立木 宮嶋は正直でいいね。

〈了〉

 

宮嶋茂樹 (みやじま・しげき) 1961年、兵庫県明石市出身。日本大学芸術学部写真学科卒業後、講談社フライデー編集部所属カメラマンを経てフリーに。通称「不肖・宮嶋」。自称「写真界のジョージ・クルーニー」(年齢が同じだから)。訪露中の金正日総書記、拘置所内の麻原彰晃など数々のスクープ写真をものにするほか、チェチェン、アフガニスタン、イラクなど紛争地域における戦場カメラマンとしても有名。『ああ、堂々の自衛隊』『不肖・宮嶋南極観測隊ニ同行ス』『不肖・宮嶋 金正日を狙え!』『サマワのいちばん暑い日』『不肖・宮嶋のビビリアンナイト』『不肖・宮嶋 イツデモドコデモダレトデモ』『再起』など著書・写真集は40冊を超える。最新刊は、海上自衛隊全面協力のもと、全国の基地に勤務する20代、30代の自衛官をフィーチャーした写真集『国防男子』と『国防女子』(ともに集英社刊)。
島地勝彦 (しまじ・かつひこ) 1941年、東京都生まれ。青山学院大学卒業後、集英社に入社。『週刊プレイボーイ』『PLAYBOY』『Bart』の編集長を歴任した。現在は、コラムニスト兼バーマンとして活躍中。『甘い生活』『乗り移り人生相談』『知る悲しみ やっぱり男は死ぬまでロマンティックな愚か者』(いずれも講談社)『Salon de SHIMAJI バーカウンターは人生の勉強机である』(阪急コミュニケーションズ)など著書多数。Webで「乗り移り人生相談」「Treatment & Grooming At Shimaji Salon」「Nespresso Break Time @Cafe de Shimaji」を連載中。最新刊『お洒落極道』(小学館)が好評発売中!

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