ダボス会議にようこそ 第3回 妻が体験した「初めてのダボス会議」

齋藤 ウイリアム浩幸

もしかしたら日本人は損している、かもしれない

私は「Spouse」での出席でしたので、参加できるセッションには制限がありましたが、それでも盛りだくさんで、入念にプランを練らなければ「もったいない」と思い、毎日気合を入れて検討しました。

私の専門はコンピュータ・サイエンス(ユーザインタフェーズ)です。現在は、人と人、人とコンピュータのコミュニケーション支援を行うことを目的に、コミュニケーション円滑化のためのツールを提供しています。

そんな私からすれば、経済は苦手意識のある分野。事前のイメージでは、ダボス会議は経済会議なので、経済や金融といったテーマだけを扱い、高度なディスカッションが行われているのだと思っていました。しかし、実際には人工知能やロボティックス、ビックデータなど、IT技術の進化が、近い将来どんな影響を社会や経済、教育に及ぼすのかなど、非常にエキサイティングな内容が多かった。

「経済会議だから経済のことばかり」という私の思いこみが間違っていたことにすぐに気づかされました。ダボスで取りあげているテーマは、非常に多岐にわたるのです。

今回のダボスで印象に残っていることの一つは、大学がセッションを持っていたことです。ハーバードやMITなど世界でも名だたる大学がセッションを開いていて、それぞれの大学の研究成果を発表していました。人気大学は事前予約なしにはセッションに入れないほど参加者の注目度が高く、学会とは違って、その分野の専門家だけではない様々な人たちがセッションを聴講しているのが印象的でした。

アメリカのみならず、ヨーロッパやアジアの大学もセッションを持っている中で、日本の大学がセッションを開いていなかったことを残念に感じました。アジアの大学のセッションに参加したのですが、研究者の英語が非常にうまく、プレゼンテーションが抜群でした。日本の大学の研究レベルは高いと思いますが、こういう大きな会議で効果的に発表し、多くの方の目に触れるチャンスを得ることは大切なのだとつくづく思いました。

私も英語に苦手意識があり、そんな私が言える立場ではないのですが、研究内容以外の部分で日本人は損をしてしまうこともあるのでは? と考えさせられました。

ウィリアムの目
「アイディアラボ」というのは、それぞれの大学が研究しているアイディアを世界のディシジョンメイカーに発表する、ちょっと変わったプレゼン方式。
ダボスに出るということは非常に大事です。ここには企業のトップも投資家もいるから、ここで注目されると、次のプロジェクトや投資につながる可能性が広がるからです。
今後、彼らの動きをフォローするのもおもしろいことだし、ダボスで認められたアイディアがどのように形になるかに注目していきたいと思います。