大坂夏の陣400周年『歴史に埋もれた長宗我部家の盛衰』十七代当主・長宗我部友親氏インタビュー

近衛龍春著『長宗我部 最後の戦い』文庫書下ろし刊行記念

──盛親とその男児の死によって長宗我部家の血脈は絶えたと思っている人も、多いのではないでしょうか。

長宗我部: 作家の司馬遼太郎さんの作品には、土佐に関するものも多い。その中に元親を主人公にした『夏草の賦』があるんですが、その最後の一文に私は衝撃を受けました。それは「大坂夏ノ陣の結果、長曾我部家はあとかたもなくなり、歴史から消えた。」というものでした。確かに大坂夏の陣で家康により、長宗我部家の本流となる盛親の末流は根絶させられました。しかし現実には元親の流れをくんだ一族が家名を復活させるため「忍従」の決意で三百年近くも続いた徳川時代を乗り越えたんです。華々しい徳川政権下の表の歴史の裏側で、わが先祖たちはひっそりと生き抜いてきました。それもまた人生であり、歴史でもあると思うんですよ。

──明治に入って家名復活を果たした與助重親が建立した秦神社。そこに自身の血脈を後世に繋げなかった盛親の慰霊碑が建つ。二千年続く名家ならではのことと感慨深いものがあります。本日は興味深いお話を聞かせていただきありがとうございました。

長宗我部: 盛親以降を生きた長宗我部家の人々は長宗我部家の血脈のためだけに生きていくという過酷な運命を強いられました。一方で、徳川家康に抵抗した盛親の反骨の思いは子孫や、坂本龍馬ら長宗我部の遺臣に繋がる人たちの身中に宿り続けたことも事実だと思うのです。それが家名を復活させ、新しい時代を切り拓くエネルギーに変わっていったと考えれば、盛親の心は活かされたと、私は考えています。

<了>
講談社『IN★POCKET』2015年3月号より

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『長宗我部 最後の戦い(上・下)』
〈内容〉 一時は四国一円を平定し、全国に武威を轟かせた土佐の戦国大名・長宗我部氏。その強豪が歴史の渦に巻き込まれ消滅した史実を、最後の当主・盛親の生涯から辿る大河小説。一族の骨肉相食む争い、非情な粛清、そして滅亡。歴史小説家・近衛龍春が膨大な史料をもとに奏でる長宗我部氏の鎮魂歌。文庫書下ろし。

近衛龍春・著
『長宗我部 最後の戦い(上)』
講談社文庫 税別価格:870円

豊臣秀吉、徳川家康さえも怖れた土佐の戦国大名・長宗我部氏。その強豪が滅亡した史実を、最後の当主・盛親の生涯から辿る大河小説。

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『長宗我部 最後の戦い(下)』
講談社文庫 税別価格:870円

長宗我部の家名を賭け、最後まで戦った盛親の生涯を追う傑作歴史小説。下巻は関ヶ原の戦い、大坂の陣、そして処刑に至るまでを追う。

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近衛龍春(このえ・たつはる)
1964年埼玉県生まれ。大学卒業後、しばしオートバイレースに没頭。その後、通信会社勤務を経て、フリーライターに転職。『時空の覇王』で作家デビュー。著書に『佐竹義重』『前田慶次郎』『上杉武将伝』『直江兼続と妻お船』『神速の剣』『伊達成実』『上杉三郎景虎』『川中島の敵を討て』『剣鬼・疋田豊五郎』『武田家臣団』『蒲生氏郷』『上杉景勝』『謀殺の川中島』『謀略の三方ヶ原』『毛利は残った』『忍城の姫武者』『坂本龍馬を斬れ』『直江山城守兼続』『長宗我部元親』などがある