がん糖尿病肥満老化…何にでも効く 驚異の「腸内フローラ」——調べてみたら、本当に凄かった

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■うつ病

腸内フローラは、精神的な疾患との関係も知られている。

カナダのマクマスター大学医学部のプレミシル・ベルチック氏は、活動が活発で好奇心が旺盛なマウスと、非常に臆病なマウスの腸内フローラが異なることを発見。そこで、両者の腸内細菌を入れ替えて実験を行った。すると、こんな結果が得られたという。ベルチック氏は、本誌にこう語る。

「臆病で優柔不断だったマウスが、突然大胆で活動的になりました。台から降りるのも素早くなった。逆に、活発だったマウスは臆病になったのです。これは、腸内フローラが脳に由来する神経因子を変化させることで起こったと考えられます」

遺伝的に自閉症を持っているマウスの腸内フローラを変えることで、症状が軽減したという研究も報告されている。腸内フローラは「心」や「脳」にも影響を与える—これは、人間に対しても応用されはじめている。

「我々は、うつ病患者に腸内環境に良い影響を及ぼす腸内細菌を投与することで、不安やうつが改善するという結果も得ました。

さらに言えば、腸内フローラを変えることで、人間の性格や行動もある程度変えられるでしょう」(ベルチック氏)

病気にならない体も作れる

腸には、脳に次いで大きな神経ネットワークがある。「腸は第二の脳」と言われる所以だ。

脳でストレスや緊張を感じるとお腹を壊すことがあるように、脳が腸に与える影響は以前から知られていたが、逆方向のルートも分かってきたということだ。

「腸の状態が、脳に影響して性格などに変化を及ぼす可能性があるということです。腸の調子が悪い状態が続くと、脳の働きまで悪くなってしまうのです」(前出・辨野氏)

身体全体の不調も、頭の働きや性格も、すべて腸内フローラが握っている—これまでの常識を覆すこの事実が、おわかりいただけただろうか。

1000種類以上ある腸内細菌が、それぞれどのような働きをするのかが明らかになってくれば、腸内フローラをコントロールするだけで病気を治すことができるようになる。それだけではない。将来的には「病気にならない体」を作ることだって可能となるだろう。辨野氏が言う。

「腸内フローラを調べて『あなたはこの菌が多いから、この病気になるリスクが高まっている』ということを知るための健康診断に使い、病気の予防に応用したいと思っています。リスクを減らすためにどんな食品を摂ればいいのかという研究も進んでくるはずです」

たかが細菌といって侮ってはいけない。腸内フローラによって、人間の健康寿命はさらに延びていく可能性を秘めているのだ。

「週刊現代」2015年3月14日号より


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